レビュー
真っ暗なはずのクジラの体内が、なぜか明るい
満足度としては普通くらいの作品でした。全体を通してザ・フィクションって感じで、リアルさというより嘘くささの方が印象としては強く残っています。
その一番の理由が、クジラの体内の明るさです。本作は丸呑みされたあとの《クジラの体内》がメインの舞台になるので、当然そこには光など無いはずです。
ただ、真っ暗なままでは何も映らないので、映像化するにあたってそれでは詰んでしまいます。そこをどうにかするためか、体内がなぜか周りが見える程度に明るくなっています。
一応、光っている理由らしきものは作中に用意されているのですが、それだけでは説明がつかないくらいには明るいです。個人的には、この謎に体内が光っている状態がずっと違和感として残りました。
酸素が限られているのに、よくしゃべる主人公
もう一つ引っかかったのが、主人公ジェイの言動です。タイムリミットは1時間で、酸素が残り少ないことは本人も分かっている状況です。
それなのに、謎に話し始めます。限られた酸素を節約しないといけないはずの場面で、です。誰に向かって話しているのかは本編で確かめてもらうとして、そこが気になりました。
極限状態に置かれた人がどういう精神状態になるのかは分からないので、主人公の精神的な面については何とも言えません。ただ、俯瞰してみると、助かる気無いだろうと思ってしまう言動が目立って見えました。
お父さんの教えと、分かりやすすぎる伏線
ストーリーは、脱出するカギが、あれほど憎かったダイビングの師である亡き父の教えの中に隠されている、というのが公式のあらすじにある座組です。思い出として描かれるお父さんとのシーンを思い出しながら、体内からの脱出を目指していきます。
この伏線が、結構分かりやすく序盤から散りばめられています。どの場面がどこに繋がるのかが見えやすいので、よく言えば分かりやすい、悪く言えばバレバレな展開で、驚くような展開は特に無かったです。
緊迫感があったのは、生き物と出くわす場面
良かったところでいうと、予告にも映っているダイオウイカとの死闘は、そこそこの緊迫感がありました。ほかにも、本編の中に一か所、映像の見せ方が凝っている場面があって、そこは表現方法も緊迫感も良かったと思います。
一方で、ビジュアルが特段良かったかといえば、そうでもありませんでした。そもそも見るからに悪天候の荒れている海に繰り出しているので、海も濁っていて何とも言えない感じでした。
イカやクジラはリアルだったのかもしれません。ただ、そもそもこいつらも水族館に行っても出会えないくらい身近ではないので、本物と比べてどうなのかはよくわからずといったところでした。
まとめ
《クジラの体内》で始まる脱出サバイバル、という設定は公式の打ち出し通りでした。ただ、そこで描かれていたのはリアルさよりも作りものとしての嘘くささの方で、満足度としては普通くらいに落ち着いています。
同じ海で酸素と闘う話でも、実話をベースにした『ラスト・ブレス』とは、むしろ真逆な作風だなと終わってから思い返しました。リアルさで引き込むタイプではなく、ザ・フィクションとして割り切って観る作品なのかなと思います。
作品情報
あらすじ
“巨大クジラに丸呑みされた――”タイムリミットは、1時間。誰も見たことがない、《クジラの体内》で始まる脱出サバイバル。
果たして生きて帰ることはできるのか――。
青年ジェイは、海でまさかの絶体絶命に…。脱出するカギは、あれほど憎かったダイビングの師である亡き父の教えの中に隠されていた。
引用元:映画『クジラに落ちた男』公式サイト
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