【レビュー】スーパーガール

スーパーガール

レビュー

スーパーマンより“人間くさい”ヒーロー

同じクリプトン星出身でも、カーラ・ゾー=エル(スーパーガール)はカル・エル(スーパーマン)とはずいぶんタイプの違うヒーローです。カル・エルが愚直なまでの正義漢として描かれるのに対して、カーラは良くも悪くも人間くさい。完璧なヒーローというより、こちら側の目線に近い等身大のキャラクターとして立っていました。

ドラマシリーズのアローバースでカーラは履修済みだったので、このキャラクター性自体はもともと把握していたのですが、映画でカル・エルと並べて観ると、その人間くささがより際立って見えました。

個人的にその人間くささが一番出ていたのが、力が通用しない環境でのカーラの過ごし方です。クリプトン人の力は赤い太陽の下では効かなくなるという設定があるのですが、そういう場所ではスーパーパワー頼みにできないぶん、お酒に溺れて遊んでいるような、ヒーローらしからぬ姿も見せてくれます。そのだらしなさも含めて、良い意味で「強くて完璧な人」ではない描き方になっていて、好印象でした。

ただ同時に、ヒーローとしての未熟さもしっかり感じる作りになっていました。そう考えると、観ていてカーラに重なって見えたのがスパイダーマンです。スパイダーマンも、力はあるけれど人として未熟で、失敗しながらヒーローとして成長していく過程を丁寧に描かれることが多いキャラクターで、本作のカーラもまさにその系譜にいるなと思いました。完成されたヒーローの活躍を観るというより、未熟な主人公が伸びていく余地を観る作品で、そこがスーパーマンとの一番の違いかなと感じます。

新生DCUの中の立ち位置と、原作からの組み替え

本作を楽しむうえで頭の片隅に置いておくと良さそうなのが、これがジェームズ・ガン体制で一度仕切り直された新しい映画シリーズ(DCユニバース、いわゆるDCU)の作品で、2025年の『スーパーマン』に続く一本だということです。アクアマンなどがいた旧シリーズ(DCエクステンデッド・ユニバース、DCEU)とは地続きではなく、別物として作り直された世界、という整理になっています。

このあたり、アメコミが好きだと逆に頭が混乱しそうになるポイントがいくつかあって、個人的にはそこを整理しながら観るのも楽しかったです。たとえば原作コミックだと、カーラはカル・エルよりも年上の従姉で、宇宙を漂っているあいだに肉体の年齢だけ若いまま止まってしまい、結果として後から地球に来たカーラのほうが見た目は若い、という入り組んだ設定で描かれることが多いキャラクターでした。

それが本作では、カル・エルが故郷を脱出したあとに生まれた年下の存在として、はっきり整理されていました。原作のあのややこしい逆転現象を知っていると、むしろシンプルに作り替えてきたんだなと分かって、ここは予習しておくと一段楽しめるところだなと思います。

ヴィランにしか見えないロボが、なぜか味方になる不思議

予習・復習の流れでもう一つ触れておきたいのが、ジェイソン・モモア演じる賞金稼ぎのロボです。モモアといえば旧シリーズのアクアマンの顔だった俳優ですが、さっき書いたとおり今回は別の世界の別キャラクター。同じ役者が悪役寄りのキャラで出てくるので、最初はその切り替えに少し不思議な感覚がありました。

そのロボが、アクアマンのときの爽やかさとは打って変わって、悪い意味で荒々しくパワフルなのが見どころです。見るからにヴィラン側の佇まいなのに、本作では利害の一致からカーラたちと共闘する立ち位置を取ります。明らかに敵にしか見えない見た目の相手が味方になるので、観ているこちらも妙な気持ちでロボを応援することになりました。

フックを振り回したりバイクを駆使したりして、パンクに暴れまわる戦い方も印象的で、観ながらずっと頭にあったのが『オーバーウォッチ』のロードホッグです。チェーン付きのフックで相手を引っ掛けて、デカい図体でゴリ押してくるあの感じが、ロボの戦い方とそのまま重なって見えました。今後のDCUでロボがどう絡んでくるのか、個人的に一番楽しみなキャラクターになったかなと思います。

ちょっと物足りなかったところ

全体としては普通に楽しめたのですが、観ていていくつか惜しいなと思う部分もありました。

気持ちは熱いのに空回りするルーシー

一人は、カーラと一緒に旅をする少女・ルーシーです。クレムに家族を奪われていて、その復讐の動機自体はしっかり熱く描かれているのですが、どうにも空回りしてしまっているのが惜しいところでした。

というのも、ルーシー自身には戦いの心得があまりないように見えて、復讐という目標に対して実力が追いついていない感じなんです。気持ちだけが先行しているのか、道中でも無力なまま、何とも言えない表情でただ突っ立っている姿が印象的でした。動機は熱いのに身の丈に合っていない、そのチグハグさに、人によってはちょっとイライラしてしまうかもしれないなと思います。

出番が少なめだったクリプト

もう一つは愛犬クリプトです。クリプトの可愛さは2025年の『スーパーマン』のときから変わらずで、無邪気でおバカな行動をしつつもカーラには忠実で、これはみんなに愛されること間違いなしの存在でした。

ただ、あらすじにもあるとおりクリプトは比較的序盤で毒に侵されてしまう流れなので、そのぶん元気に動き回って活躍するシーンはそこまで多くありません。可愛いからこそ、もっと暴れているところを観たかったというのが正直なところで、ここは続編に期待したいところです。

まとめ

スーパーマンの完璧な正義漢ぶりとはちがって、未熟で人間くさいカーラの成長物語として、普通に面白く観られる一本でした。ヴィランにしか見えないロボが味方になっていく不思議さや、新生DCUの中で原作設定をどう組み替えてきたかを追いかける楽しさもあって、アメコミ好きほど引っかかりどころが多い作品だと思います。

ルーシーの空回りやクリプトの出番の少なさなど、惜しいなと思うところはありつつも、カーラもロボもこれからのDCUでどう育っていくのか気になるキャラクターに仕上がっていました。ちなみにエンドクレジットの後にも映像があるので、2025年の『スーパーマン』を観ている人ほどニヤッとできるはず。席を立たずに最後まで残っておくのがおすすめです。

ここから新生DCUがどう広がっていくのか、カーラの次の一歩も含めて楽しみにしたいなと思います!


作品情報

あらすじ

スーパーマンが地球を救った、その後の世界。

故郷クリプトン星を失った壮絶な過去をもつカーラ・ゾー=エル(スーパーガール)は、唯一の心の拠り所である愛犬クリプトと静かに暮らしていた。

そんなとき、突如現れた謎の敵・クレムの攻撃によってクリプトが毒に侵されてしまう。

解毒剤を求めるカーラは、同じくクレムに家族を奪われた少女・ルーシー、そして宇宙最凶の賞金稼ぎ・ロボとともに、宇宙をまたにかけた壮大な冒険へと乗り出していく。

残された時間はわずか《3日間》。

果たして、カーラはクリプトを救えるのか。

そして、銀河を揺るがす戦いの行く末とは――

引用元:映画『スーパーガール』公式サイト

トレーラー

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