引用元:映画『仮面ライダーゼッツ&超宇宙刑事ギャバン インフィニティ』公式サイト
レビュー
仮面ライダーゼッツ さよならのミッション
Wヒーロー夏映画、今年は『仮面ライダーゼッツ』と『超宇宙刑事ギャバン インフィニティ』の同時上映。まずはゼッツ側から書いていきます。テレビシリーズも毎週追いかけてきたので、劇場版がどんな一本に仕上がっているのか、楽しみに席につきました。
冒頭から惹き込まれる、実写のバイクチェイス
いきなり掴まれたのが、序盤も序盤に置かれたバイクチェイスのシーンでした。普通に車が行き交っている車道を、糸を縫うようにスイスイと走り抜けていく。これを実写でやり切ってくるのか、と素直に感心しました。仮面ライダーはやっぱりこうでなくちゃ!
見ていて「今の世の中でこういう撮影ってまだできるんだ」と口に出しそうになったくらいで、道路使用のハードルもコンプライアンスも厳しくなっている今、この画を撮り切ったこと自体が一種のスタントだなと思います。仮面ライダーといえばバイク、という原点の部分を、令和のゼッツが真正面から見せてくれたのは嬉しいポイントでした。
“さよなら”というより番外編の手触り
もう一つ触れておきたいのが、テレビシリーズを毎週追ってきた人ほど刺さる展開が用意されているところです。ここは核心には踏み込みませんが、劇場だからこそ胸が熱くなる仕掛けがある、とだけ書いておきます。思わず前のめりになってしまう場面だと思います。
観ながら思い出していたのが、前作にあたる『仮面ライダーガヴ』の劇場版でも近い高揚感があったな、という記憶。あのときの感覚に通じるものが、ゼッツにもしっかり用意されていました。
ただ、サブタイトルの「さよならのミッション」という言葉から想像していたような、シリーズを畳みにいく“さよなら感”は、個人的にはそこまで強くは感じませんでした。どちらかというと本編の地続きというより、少し横に置かれた番外編の手触り。テレビの最終回に向けた地ならし、という重さを期待して行くと、体感が少しズレるかもしれないなと思います。
超宇宙刑事ギャバン インフィニティ 太陽が泣いた日
そしてギャバン。宇宙刑事といえば、旧作のギャバンからシャリバン、シャイダーまで、後追いでひと通り観てきたクチなので、こちらは完全に温度違いで臨みました。結論から言うと、W上映のうち自分に刺さったのは断然こっちです。
“面割れ”で宿る、俳優そのものの眼力
最大の見どころは、予告の時点でも見えていた「面割れ」の演出です。これがめちゃめちゃ熱い!
特撮のヒーローは、基本的にマスクの中でスーツアクターが芝居をしています。だからこそ、大きく頷いて感情を見せたり、喋るときはわざわざ相手のほうへ顔ごと向けたりと、マスク越しでも伝わるように芝居が少し大振りになる。この「スーツアクターならではの芝居」があるからこそ、ヒーローの所作は成立しているわけです。
ところが面割れになると、割れた面の隙間から、中に入っている俳優自身の目線で芝居ができるようになる。頷きや顔の向きに頼らず、目の演技そのもので感情を通してくる。ギャバンインフィニティの、怒りに満ちた眼力。ここは本当に必見です!マスクの下で誰かが演じている、という当たり前が、面割れという一瞬で「この人が戦っている」に切り替わる。この切り替わりは、劇場の大画面でこそ味わってほしいところです。
数秒の“蒸着”に、大葉健二さんを想う
そして、これは書くかどうか少し迷った部分でもあります。初代ギャバン=一条寺烈を演じた大葉健二さんが、今年の5月に亡くなられました。宇宙刑事シリーズが好きな自分としては、やはりどこかで「大葉健二に捧ぐ」くらいのテロップがあってもいいのにな、と思いながら観ていた自分がいます。
とはいえ、公開時期から逆算すれば、制作は訃報よりずっと前から動いていたはず。実際に本作へ関わっておられたわけではないと思うので、入れたくても入れられなかった、というのが正直なところなのかもしれません。それでも、ほんの数秒、あるキャラクターが旧ギャバンの「蒸着」を思わせる動きを見せる場面があって、そこにシリーズの地続きを感じて、勝手にじんとしてしまいました。
大葉健二さんも、天国で本作を楽しんでくれていると祈ります。
まとめ
というわけで、Wヒーロー夏映画2026は、実写スタントとテレビ地続きの熱を見せるゼッツと、面割れの眼力が強く印象に残ったギャバン、という手触りの違う二本立てでした。自分に強く刺さったのは断然ギャバンの方でしたが、隣の席で観ていたお子さんは、ゼッツの番になった途端にテンションが上がっているようで、やっぱり仮面ライダーの求心力はすごいなと感じました。
客層も面白くて、夏休みシーズンということもあってか、小さいお子さん連れだけでなく、女性グループで来ている人たちもちらほら。特撮=子ども向け、というくくりでは測れない広がりが、劇場の空気からも伝わってきました。二本立てなので、どちらか片方だけを目当てにしても、もう片方が思わぬ拾いものになる作りになっているのが、W上映の良さだなと思います。
そして最後にもう一度だけ。宇宙刑事という長いバトンを、令和のスクリーンでまた受け取れたこと自体が嬉しい一本でした。大葉健二さん、ありがとうございました。
作品情報
あらすじ
『仮面ライダーゼッツ さよならのミッション』
警察庁が爆破される事件が発生し、その実行犯として万津莫=仮面ライダーゼッツが名指しされる。国家公安委員会は怪事課に莫の逮捕を命じるが、小鷹賢政=仮面ライダーノクスや富士見なすかは、莫がそんなテロを起こすはずがないと信じ続ける。やがて小鷹は、すべての黒幕である仮面ライダー夢現にたどり着く——。
引用元:映画『仮面ライダーゼッツ さよならのミッション』公式サイト
『超宇宙刑事ギャバン インフィニティ 太陽が泣いた日』
ある日、多次元宇宙から発生した魔空空間が太陽を飲み込み、世界は暗闇に包まれる。局長のもとに恐ろしい通信が入り、怜慈は指示された場所へと向かうのだが、ギャバンキラーの正体が先輩の長谷だと知る。対ギャバンの秘策を前に、彼は苦戦を強いられるのだが——。
引用元:映画『超宇宙刑事ギャバン インフィニティ 太陽が泣いた日』公式サイト




