【レビュー】実写映画『ルックバック』

ルックバック

レビュー

田舎の景色と、古民家感のすごさ

アニメ版を観たのは2024年の公開当時なので、記憶はだいぶ薄れています。それでも実写版を観ながらずっと感じていた違いは、やっぱりリアルさでした。

まず田舎の景色が美しいです。公式サイトによると撮影は秋田県にかほ市で四季を通して行われたそうで、春夏秋冬がそれぞれちゃんと画面に残っています。

そして家です。主人公ふたりが住んでいる家が、アニメ版よりも古民家感がすごい。アニメ版で同じ家を見ていたはずなのに、受ける印象が全然違いました。

Gペン・トーン・液タブが全部アップで映る

個人的に一番違いを感じたのは、絵を描く時の描写です。

ペン入れに使うGペン、トーン貼り、ペインティングナイフ、デジタル化に伴って使う液晶タブレット。どれもしっかりアップで映し出されます。

絵ができあがっていく様はもちろんですが、なんといってもペンが画材を擦る音です。実写だから当たり前ではあるのですが、この音がリアルでした。アニメでいくら同じ音を使っていたとしても、目で見て耳で聞いての感覚と比べると全然違うなと感じました。

不思議なもので、Gペンもトーン貼りも実際にやったことはないのに、自分でやっているかのような追体験ができた感じがありました。そこに過去の画材を触ってきた経験が乗って、よりリアルな感覚として伝わってきたのかもしれません。

公式サイトでも漫画制作シーンの本編映像が公開されているので、どういう温度で画材が映るのかは観る前でも確認できます。ここが刺さるかどうかで、本作の満足度はけっこう変わってくるんじゃないかなと思います!

アニメだからできていた表情

反面、悪い意味でのリアルさもありました。

アニメ版では溢れんばかりの表情で振る舞っていたシーンが、本作ではどことなくぎこちないように見えました。同じ場面を知っているぶん、その差が気になります。

これは演技力だけの話じゃなくて、アニメだからできる誇張表現やカメラアングルが原因かなとも思います。アニメーションで描かれるパートも確かにあったのですが、アニメ版を頭に置いて比べながら観ていたせいか、印象としてはそこまででした。

アニメ版にはなかったシーンが挟まってくる

これも記憶が薄れている前提の話にはなるのですが、アニメ版にはなかったシーンが随所にあった気がします。

そのせいか、アニメ版では触れられていなかった背景の深掘りがされたように感じました。何がどう足されているかは書かないでおきますが、アニメ版を観てから本作を観る人ほど、引っかかるポイントが出てくるはずです。

尺で言うとアニメ版が58分、本作が99分なので、単純計算でほぼ倍です。同じ話をそのまま実写に置き換えただけではこの差にはならないので、追加分がどこに使われているのかを探しながら観るのも一つの楽しみ方かなと思います。

ちなみに入場者特典はポストカードのようなものでした。アニメ版の時は原作ネーム全ページが丸々1冊という特典だったので、こればかりはアニメ版の方が豪華でしたね。

まとめ

同じ原作から、アニメ版と実写版という2本の映像化が並んだ形になりました。観終わってみると、どちらが上という話ではなく、それぞれ違うものを担当しているなという感想です。

アニメ版は誇張された表情と動きで感情を振り切れる強さがあって、実写版は画材のアップと音、田舎の景色と古民家の実物感で押してきます。同じ話なのに、刺さってくる入口がまるで違いました。

アニメ版を観ている人ほど、差分を探す観方ができて楽しめると思います。アニメ版未見でも本作だけで十分成立するので、そこは心配しなくて大丈夫です。漫画を描くという行為そのものを、手元と音でここまで見せてくれる作品はなかなかないので、ぜひ劇場で体験してみてください!


作品情報

あらすじ

自信家な小学4年生の藤野は、学年新聞に4コマ漫画を連載し、クラスメートたちから絶賛されていた。

しかしある日、学年新聞に掲載された不登校の同級生・京本の漫画を目にし、その圧倒的な画力に打ちのめされる。それ以来、藤野は絵が上手くなりたい一心で漫画を描き続けるが、その差は埋まらず、一度は漫画を諦めてしまう。

ところが卒業式の日、京本の家へ卒業証書を届けに行った藤野は、京本が自分の漫画のファンだったことを知る。

漫画へのひたむきな思いで結ばれたふたりは、一緒に漫画を描き始める。かけがえのない時間を積み重ねていく藤野と京本。しかし、そんなふたりの日々を大きく揺るがす出来事が訪れる。

引用元:ルックバック – K2 Pictures

トレーラー

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