【レビュー】プラダを着た悪魔2

プラダを着た悪魔2

レビュー

開始1秒で前作と地続きになる

20年越しの続編、しかも前作の細かい演出までしっかり拾いたかったので、本作のために前作の『プラダを着た悪魔』を改めて見返してから劇場へ向かいました。これは見返して大正解でした。

本予告でも公開されているとおり、本作の冒頭はアンディが電動歯ブラシを使うシーンから始まります。前作とまったく同じタイミング・同じ所作で、開始1秒で「あ、これ前作のオマージュだ!」と気づけました。それだけで本作を観に来てよかったなと思える、最高の幕開けでした。

本作にはこういう前作オマージュが各所に散りばめられていて、前作ファンが「あっ」と反応するポイントが密度高く仕込まれています。物語自体は前作を観ていなくても成立する作りなのですが、こういう細かい演出や人間関係の機微まで拾いたいなら、前作を見返してから劇場に向かう方が満足度は跳ね上がるかなと思います。

衣装演出のスケールアップとサプライズの一手

本作で個人的にじわじわと効いてきたのが、衣装演出のスケール感です。

前作と比べて、画面に出てくる衣装の物量が段違いに増えています。劇中にちゃんとファッションショーのシーンも別途存在するのですが、それ以外の場面でも衣装の見せ場が連続するので、ほとんど映画自体がランウェイ化する時間が何度も訪れます。前作で語り継がれている、あの伝説的な連続コーディネートシーンが好きだった方にとっては、それだけで劇場に足を運ぶ価値があります。

そしてもう一点、これはネタバレ回避で具体的には書かないのですが、本作には音楽演出に関わる「サプライズで登場するビッグゲスト」が用意されています。今回は通常字幕版で観に行ったのですが、上映前は「なぜプラダ2にDolbyシネマがあるんだろう?」と疑問だったところ、観終わってその意味が完全に腑に落ちました。これから観に行く方は、Dolbyシネマを選ぶ価値が大いにあります。

ナイジェルが居続けてくれる

本作で個人的に一番心を動かされたのが、ナイジェル(スタンリー・トゥッチ)の存在感です。

20年経って続編が作られると、好きだったキャラクターの肌触りや立ち位置がガラッと変わってしまうこともよくあるのですが、本作のナイジェルは、前作で好きだったあの感じを良い意味でほとんど変えずに居続けてくれています。前作のナイジェルが好きだった方ほど、本作のナイジェルの描かれ方にじわっと胸が温かくなるはずです。

スタンリー・トゥッチの演技にも、20年分の年輪がしっかり乗っていて、画面に映るたびに気持ちを持っていかれました。ナイジェル抜きでは、前作も本作もきっと成り立たなかったのではないかと思います。

2026年の「悪魔」事情

個人的に引っかかったのは、ミランダ(メリル・ストリープ)とエミリー(エミリー・ブラント)の描かれ方でした。前作と比べると、印象がだいぶ変わっています。

ミランダの「悪魔度」は、前作と比べると明らかにマイルドな肌触りになっています。これは現代的なコンプライアンス意識を反映したキャラクター調整で、2026年の作品としては極めてリアルな選択ではあるのですが、「プラダを着た悪魔」というタイトルを背負ったキャラクターとしては、ある意味でパワーダウンしているのかなと感じる場面が何度かありました。コンプラを意識せざるを得ない時代、悪魔は悪魔として成立しづらいんだなと、しみじみ思わされる時間でもありました。

エミリーの描かれ方にも、前作のあの仕事を全力で楽しんでいたカッコ良さが好きだった方ほど、戸惑う部分があるかもしれません。20年経って人間が変わっていくのは自然なことではあるのですが、できれば前作のあの強気な方向のまま20年成長していてほしかったな、というのが正直な気持ちです。

まとめ

本作は、前作から20年越しでオマージュ・衣装・キャストの再共演をたっぷり浴びられる、前作ファンには嬉しい作品でした。一方で、「悪魔」というタイトルにキレを期待していくと、現代的にチューニングされたキャラクター像に少なからず戸惑う部分があるかなとも思います。

それでも、前作のあの世界観をもう一度劇場で体験できたこと、ナイジェルがしっかりそこに居続けてくれたこと、そして冒頭1秒で前作のオマージュに気づけたこと——前作のファンであれば、これだけで観に行く価値がある作品だなと思います。

前作を観ていなくても物語としては楽しめる作りですが、細かい演出や人間関係の積み重ねに気付ける状態で観ると、楽しさは倍以上になります。これから観に行く方は、できれば前作の『プラダを着た悪魔』を見返してから劇場に向かうのが吉かなと思います。そして音響演出にこだわりたい方は、ぜひDolbyシネマを選んでみてください!


作品情報

あらすじ

トップファッション誌「ランウェイ」の“悪魔”のような編集長ミランダと、彼女の元アシスタント・アンディ。

別々の道で成長を重ねたふたりが、雑誌存続の危機に再びタッグを組むとき、ファッション業界に大旋風が巻き起こる──。

明日へのモチベーションをあげてくれる、映画という名のプレミアが、幕を開ける。

引用元:プラダを着た悪魔2(大ヒット上映中)|映画|20世紀スタジオ公式

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