レビュー
思ったよりちゃんとミステリーしていた “ひつじ × 探偵小説”
観る前は「ひつじ × ミステリーってどんなだろう?」と半信半疑だったのですが、観終わってみると思っていたよりずっとちゃんとミステリーしていて、最後まで楽しむことができました。
公式あらすじにある通り、主人公の羊飼いがミステリー好きで、毎晩ひつじたちに探偵小説を読み聞かせる、という設定が用意されています。この読み聞かせ設定が、単なる人物紹介で終わらずに物語の見方そのものに効いてくる作りになっていて、個人的にはぐっと来たポイントでした。
羊飼いがミステリー趣味で、しかも羊たちが読み聞かせを理解している、という導入だけ取り出すとファンタジーに振り切ったコメディになりそうですが、本作はそこから一歩踏み込んでミステリーとしての筋立てを立ち上げてくる構造になっていて、観ながらの意外性が結構ありました。
観終わってから振り返ると「あー、あの読み聞かせはこういう意味だったのか」と腑に落ちる感覚があって、随所にヒントが散りばめられていることに気づきます。
ミステリー作品で “結末を知った上で観返したくなる” 欲求が残るタイプは意外と多くないなと思うのですが、本作はその欲求がしっかり残ってくれて、これも個人的にはミステリーあるあるとして気持ちよく決まっていたなと思います。
羊の生態設定がデフォルメだけど芯を喰っている
観賞中、羊の生態描写があちこちに散りばめられていて、「これって現実でもこうなのかな?」と気になる場面が多々ありました。
たとえば本予告にも出てくる「柵がなくても道路は草じゃないから怖くて渡れない」描写。これは現実の羊が臆病で、慣れない地面や未知の環境に強い不安を示すという習性のデフォルメだそうで、芯を喰った設定だなと思います。
(観終わって調べたところによると、現実の羊は最大 50 頭の他羊の顔と人間の顔を 2 年以上覚えていられるらしく、むしろ「忘れない動物」だそうですw。のんびりしてそうな見た目で、認知能力の研究対象になるくらいには賢いと知って、本作の羊たちの設定にも妙な納得感が生まれました。)
そういう意味では、本作の羊たちはファンタジー寄りに振りつつも、現実の羊が持つ習性の輪郭をそのまま使っているから、観ていて妙にしっくりくるのかもしれません。
荒唐無稽さに馴染んでいくコメディの気持ちよさ
ひつじが事件を捜査するなんて荒唐無稽な構図ですが、本予告にも登場する人間サイドの警官キャラなどが思いのほか効いていて、物語の進行に沿ってひつじと人間の関係性に独特の温度が生まれていきます。
最初は荒唐無稽さを「いや、それはないでしょ」と受け取っていたはずなのに、観ているうちにこちらまでその空気に馴染んでいく感覚があって、コメディとしての気持ちよさがそこに宿っているなと思います。
観終わった後にふと考えてみると、ミステリーとして成立させながらコメディの軽さも両立させる、というバランスは結構難しいはずなのに、それがうまく噛み合っていたなと感心しました。
字幕版で甦った X-メン コンビ
今回は上映時間の都合でたまたま字幕版を観ることになったのですが、結果的にこれが想定外の収穫を生みました(普段は吹替版で観ることのほうが多いので、字幕版選択にこだわりがあったわけではありません)。
事前に羊の声優陣を確認していたところ、パトリック・スチュワートが含まれていることに気づき、これは「X-メン」シリーズでウルヴァリンを演じてきたヒュー・ジャックマンとの再共演になるな、と一気に期待値が上がりました!
プロフェッサー X とウルヴァリンといえば、『X-メン: フューチャー&パスト』や『LOGAN/ローガン』を経てきたコンビなので、その二人がまさかひつじとひつじ飼いとして再会するというのは、それだけで個人的にはぐっとくる構図です。
具体的にどの羊にパトリック・スチュワートの声が当てられているかは、事前情報では分からなかったのですが、本編を観ていてすぐにピンときました。原語の声でこそ気づける文脈ですし、字幕版でたまたま観られたのは結果的にラッキーだったなと思います。
まとめ
観る前は「ひつじ × ミステリーってどんなだろう?」と半信半疑だったのが、思っていたよりちゃんとミステリーしていて、しかも事前に把握していた X-メン コンビ再共演の “仕掛け” もちゃんと回収される形で答え合わせされて、二重に満たされる満足感がありました!
派手なジャンル映画ではないですが、ミステリーとしての筋立て、羊の生態のデフォルメ、人間サイドのコメディ感、そして X-メン コンビ再共演の楽しみまで、観る前の期待値以上に色んな要素が盛り込まれていて、想像していたよりもずっと厚みのある作品でした。
結末を知った上でもう一度観たくなる、というのもミステリーあるあるとして気持ちよく決まっていたので、二度観したくなる手応えも含めて、結構楽しめました!
作品情報
あらすじ
イギリスの田舎町で、愛するひつじたちと共に一人で暮すひつじ飼いのジョージ。
彼は毎晩、たくさんのひつじたちに探偵小説を読み聞かせています。彼らが物語を理解し、その時間を楽しみにしていることも知らずに・・・
ある日、そのやさしいジョージが死体で発見されます。
これが事故だと信じようとしないひつじたちは、最も賢いリーダーのリリーを筆頭に、老若雄雌!?のひつじたちが結束して捜査を開始!手がかりを追ううちに、ジョージには47億円の巨額な遺産があったことが発覚!
みんな、みんな、あやしい!果たしてひつじたちは犯人を見つけ出し、愛するご主人の無念をはらすことができるのか??
引用元:映画『ひつじ探偵団』オフィシャルサイト | ソニー・ピクチャーズ
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