【レビュー】八つ墓村

八つ墓村

レビュー

ミステリーだと思って観たら、ほどよくオカルトなホラーも混ざっていた

タイトルこそ知っていたものの、これまで何度も映像化されてきた『八つ墓村』は、映画もドラマも通ってこなかったので、名前を知っている程度の状態で観に行きました。

金田一耕助が出てくると聞けば、やっぱり推理で謎を解いていくミステリーなのかなと思っていたのですが、実際に観てみると、そこにオカルトなホラーの要素がほどよく混ざっていて、このバランスがとても良く感じました!

ミステリーとして謎を追いかけつつ、ホラーとしての怖さもちゃんとある。この塩梅を味わってみて、金田一耕助シリーズがこれだけ長く人気を集めている理由が、なんとなく分かったような気がします。

清水崇らしさは控えめでも、それを補える見やすさ

監督は清水崇です。清水崇といえば、個人的には背筋の凍るタイプのジャパニーズホラーの王道、というイメージがあります。本作でもホラーの表現の部分は、やっぱり清水崇監督の得意とする分野だなと思いました。

その一方で、清水崇監督の作品として観ると、"らしさ"は他の作品よりも控えめだったかもしれません。原作が有名なぶん、というのもあるのかなと思います。

控えめに感じたのは、ホラー要素のテンポ感です。タカヤサマシリーズや村シリーズを思い返すと、清水崇作品はホラーな展開と落ち着いた展開のメリハリがはっきりしていて、しかも落ち着いた場面の中でも油断しきれない雰囲気がある、というイメージです。本作はそれと比べると、ホラーな展開は控えめに感じました(とはいえ、ちゃんとホラーはあります)。

そのぶんの間を埋めているのが、金田一耕助ののらりくらりとした、ちょっとコメディっぽい雰囲気です。尾上松也が演じる金田一耕助は、しゃべり方も立ち居振る舞いもマイペースで、ある意味イメージ通りの金田一耕助でした。その空気感のおかげで、ただの王道ジャパニーズホラーにはあえてしていないような感じを受けました。

らしさが控えめなのは確かですが、それを補えるくらいには見やすい出来になっていたなと思います。

内定ゼロから一気に上げて落とされる、辰弥の巻き込まれ方

主人公の井川辰弥(奥智哉)は、内定ゼロで彼女もいない大学生です。そんな辰弥のもとに母の訃報が舞い込み、奇妙な探偵・金田一耕助にいざなわれるようにして、岡山県の山奥にある「八つ墓村」の田治見家を訪れることになります。

そこで辰弥は、名家・田治見家の莫大な遺産の相続人という立場になるのですが、その帰還に合わせたかのように、村では不可解な連続殺人事件が起き始めます。思ってもみないところから急に上げられて、そのまま一気に落とされるような展開で、もし自分が辰弥の立場だったらと思うと、たまったもんじゃないなと感じました。

そういう意味では、辰弥の動きにはどことなく他人事のような雰囲気もあったかもしれません。急にこんな事件に巻き込まれているので、気持ちが追いついていない、という意味での他人事っぽさです。

まとめ

金田一耕助と聞いて、推理で謎を解いていくミステリーを想像して観に行ったのですが、オカルトなホラーの要素もほどよく入っていて、このバランスこそが金田一耕助シリーズが長く愛されてきた理由なのかなと感じました。

そこに清水崇監督のホラー表現と、金田一耕助のマイペースさが重なって、王道のジャパニーズホラーとはまた違う、見やすい作品になっていました。

過去の『八つ墓村』を観ていなくても楽しめたので、タイトルだけ知っているという人にも、ぜひ劇場で観てみてほしいなと思います!


作品情報

あらすじ

内定ゼロ、彼女ナシ。大学生・井川辰弥のもとに舞い込んだ母の訃報。

奇妙な探偵・金田一耕助に誘われ、岡山県山奥に潜む「八つ墓村」を訪れる。

封印された、ルーツと怨念の記憶が目を覚ます。

村では、名家・田治見家の莫大な遺産の相続人である辰弥の帰還に合わせたかのように、不可解な連続殺人事件が発生。

金田一耕助と共に、事件に巻き込まれてゆく。

美しき未亡人・森美也子、双子の大叔母、不気味な村人たち ──。

誰も知らない“八つ墓”の秘密が今明かされる ──。

ようこそ、最高の悪夢へ。

引用元:映画『八つ墓村』公式サイト

トレーラー

This product uses the TMDB API but is not endorsed or certified by TMDB.