【レビュー】クレイフェイス

クレイフェイス

レビュー

一人二役ならぬ「複数人一役」

一人の俳優が二つの役を演じ分ける「一人二役」はよく聞きますが、本作はその逆で、何人もの俳優が一人の役を演じる「複数人一役」とでも言いたくなる構図になっていて、そこが一番の面白さでした。

予告にも少しだけ映っていますが、様子のおかしい老人が顔をこすると、そこからマットの顔が出てくるというカットがあります。粘土のように姿を変えられる体になったマットは、見た目だけなら別人になれてしまうので、その間は化けられている側の俳優が、中身はマットとして演じているんだろうなと思います。

本編ではこの力をマットがどう使っていくのかも見どころの一つで、個人的に推したいのは、次から次へと顔が変わっていく場面です。演じている俳優はどんどん入れ替わっているはずなのに、ちゃんと一本の線で繋がって、ずっとマットに見えてくるのが面白いところでした。

そのぶん撮影は相当大変だったんじゃないかなと思います。顔が溶けていくような特殊メイクだけでも手間がかかりそうですが、他人の顔へとシームレスに切り替わっていく描写もすごくて、このあたりは予告でも少しだけ確認できます。

R15らしい痛々しさと、ホラースリラーとしての手触り

R15指定ということで、どの程度のものだろうと思いながら観に行ったのですが、思っていたより痛々しい描写が多めでした。顔や体が変わっていく怖さも含めて、全体的に「痛い」と感じる場面がそこそこあるので、こういった描写が苦手な人は要注意です。

逆にいえば、ホラースリラーとしてもしっかり楽しめる作りになっていて、たとえば『サブスタンス』のような作品と並べても、見劣りしないなと感じました。

もちろん、ホラーへの振り切り方でいえば『サブスタンス』の方がしっかりホラーに寄っていた作品だと思います。ただ、体が変わっていく怖さや痛々しさの見せ方、そして主人公の悲劇性といったところは、本作も負けていません。アメコミのヴィランの映画だからと身構えず、ホラースリラーとして観ても十分満足できるかなと思います。

バットマンのヴィラン「クレイフェイス」が生まれるまで

クレイフェイスは、もともとDCのバットマンに登場するヴィランです。個人的にクレイフェイスを知ったのはアニメの『異世界スーサイド・スクワッド』だったのですが、そちらのクレイフェイスがもっとおしゃべりなナルシストという印象だったのに対して、本作のマットはもっと人間臭い若手俳優という感じでした。

本作で描かれるのは、ハリウッド期待のスターだったマットが、ある出来事をきっかけにすべてを失い、“禁断の治療”に手を伸ばしたことで怪物になっていくまでの物語です。マットの身に何が起こって、どういう変化があったのか。クレイフェイスの出自を知るには最適な作品だなと思いました。

同じスタンスの映画としては、『JOKER』が一番近いと思います。バットマンが出てこないヴィラン単体の物語で、追い詰められた男が怪物になっていく過程を描いていて、観ているうちにその主人公に同情してしまう。ヒーロー映画というより、ホラーやドラマとして成立しているところまで含めて、かなり近い立ち位置にいる作品だと感じました。

まとめ

バットマンの敵役としてではなく、すべてを失った一人の男の物語としてクレイフェイスを描いた作品でした。

アメコミ映画として観ても、単体のホラースリラーとして観ても楽しめるので、痛い描写さえ大丈夫なら、DC好きにもホラー好きにも観て欲しいなと思います!

ここまで丁寧に出自を描いてもらったからこそ、これから先、クレイフェイスがバットマンと対峙する日が今から楽しみです!


作品情報

あらすじ

ハリウッド期待のスター、マット・ヘーゲン。

ある出来事をきっかけにすべてを失った彼が、絶望の果てに手を伸ばしたのは、“禁断の治療”。

すべてを取り戻すはずだった……。

だが恐ろしい副作用により心までも蝕まれ、粘土のように姿を自在に変える怪物〈クレイフェイス〉へと変貌していく――。

すべてを失った男の、悲劇と復讐。

引用元:映画『クレイフェイス』公式サイト

トレーラー

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