【レビュー】オデュッセイア

オデュッセイア

レビュー

トロイの木馬の、その後の話

観に行く前は、トム・ホランドが出ている映画、くらいの距離感で考えていました。実際に観てみると、物語の入口に置かれているのはトロイの木馬です。コンピュータウイルスの名前としてすっかり定着している、あの木馬の元になった方。

作戦そのものは『トロイ』(2004年)で観た気がしますし、テレビの特番か何かでも見ているかもしれません。なので初めて知る話ではないのですが、その戦争が終わった後に何が起きたのか、という続きの方は知らないままでした。本作はそこから始まります。

公式のあらすじにも書かれているとおり、トロイア戦争を終わらせた王が、そこから10年も消息を絶っている、というのが出発点です。勝ったのに帰ってこない。勝利の話ではなく、勝った後の帰り道の話として組み立てられているところが、想像していたより地味で、想像していたより興味深かったです。

どこまでが史実で、どこからが物語なのかは、観ていてもよく分かりませんでした。(神話として残っている話なので、そもそも線を引くこと自体が難しいのかもしれません)それでも分からないまま観ていて引っかからなかったのは、確かめながら観る種類の映画になっていないからかなと思います。

急に出てくる単眼の巨人

そこまでは人間同士の戦争と、その後の帰り道の話として進んでいきます。ところが途中から、単眼の巨人キュクロプスが出てきます。

急に異形の巨人が現れたので、あっけにとられました。それまで観ていたものの延長に置くには、見た目があまりにも違う。ここから神話の側の要素が入ってくるのか、という切り替わりでした。

公式サイトのあらすじには、キュクロプスのほかにも魔女キルケ、鎧の巨人たち、セイレーンの歌が並んでいます。読んでから行けば身構えられますが、何も入れずに行くと同じところで面食らうはずです。予告だけでも先に観ておくことをおすすめします。

個人的には、神話の側に寄っていくこと自体に不満はありませんでした。ギリシャ神話が元になっている以上、怪物が出てくるのはむしろ当たり前です。ただ、そこまで人間同士の話として観ていたので、受け止めるのに一拍必要だったかなと思います。

隣のスクリーンと同じ顔ぶれ

元々はトム・ホランド目当てくらいの気持ちで足を運んだ作品でした。ところが観ているうちに、見覚えのある顔が次々に出てきます。

ゼンデイヤがアテナ、ジョン・バーンサルがスパルタの王メネラオス。どちらも『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』で観たばかりの面々です。トム・ホランドと合わせて、つい先日観た顔が同じ映画に揃っていることになります。

しかもこれ、同じ劇場の、同じ日の、同じ時間に、真横のスクリーンでブランド・ニュー・デイが上映されていました。隣でやっている映画と出演者が被っている、という状況です。こんな並びになることもあるんですね!

吹替版で観たのですが、スパイダーマン勢は吹替の担当もおそらくそのままだったと思います。声の面でも引っかかるところがなく、そのまま観ていられました。

ゼンデイヤについては予告か何かで見ていた気もするので、出てきた瞬間に驚いたということはありませんでした。役どころはゼウスの娘アテナで、オデュッセウスの旅を見守る立場です。

173分をどう乗り切るか

上映時間は173分あります。長いことは事前に把握していたつもりでしたが、実際に座ってみると体感はそれ以上でした。中身が間延びしているという話ではなく、単純に席に座り続けている時間として長いです。

実際、スタッフロールまで我慢して、スタッフロールの途中でトイレに立ちました。本編は最後まで見届けたので結果的にはセーフでしたが、あと少し長かったら怪しかったです。

これから観る人は、飲み物の量を調整するか、入る前に済ませておくのが無難です。173分という数字を見て「まあいけるだろう」と思ってしまうと危ない、というのが今回の学びでした。

フォーマットは通常スクリーンの吹替版で観ています。(全編IMAX撮影が売りの作品なので、IMAXで観るとまた印象が違うのかもしれません)

まとめ

トム・ホランドが出ているから観に行く、くらいの入り方をした作品でしたが、観終わってみると受け取ったものが全然違うところに着地していました。トロイの木馬という言葉の元になった戦争の、その後の帰り道の話。そこに神話の怪物が乗ってくる構成。どちらも入る前には想像していなかったところです。

史実なのか物語なのかが分からないまま観ていても、特に困ることはありませんでした。むしろ分からないからこそ、単眼の巨人が出てきても、そういうものなのかと受け入れられたのかなと思います。

期待していた方向とは違うところで満足できた、という意味では得をした回でした。トム・ホランド目当てで行く人ほど、入口と出口の差を楽しめるんじゃないかと思います。ただし173分ある点だけは、先に覚悟しておいてください!


作品情報

あらすじ

ギリシャの島国イタケでは王の不在が続く。「トロイの木馬作戦」を成功させ、10年続いたトロイア戦争を終結させたイタケの王オデュッセウス(マット・デイモン)はその後10年もの間消息を絶ち、王妃ペネロペ(アン・ハサウェイ)は帰還を待ち続けていた。

王宮ではアンティノオス(ロバート・パティンソン)ら求婚者が王位を狙い、宴を繰り返し、我が物顔で居座り続けている。ペネロペと息子のテレマコス(トム・ホランド)、盲目の忠僕エウマイオス(ジョン・レグイザモ)だけがオデュッセウスの帰還を信じていた。

父の行方を求めスパルタへ向かったテレマコスは、スパルタの王メネラオス(ジョーン・バーンサル)と王妃ヘレネ(ルピタ・ニョンゴ)からオデュッセウスについての物語を聞かされる。トロイア戦争が長期化する中、ギリシャ軍を率いるオデュッセウスは巨大な木馬に兵を潜ませる策を立て、従弟の兵士シノン(エリオット・ペイジ)が木馬を供物と偽って城内へ運ばせた。命を落としたシノンの犠牲によって作戦は成功し、夜、木馬から飛び出したギリシャ兵がトロイアを陥落させた。だが、その後のオデュッセウスの足取りを知る者はいなかった。

戦争には勝利したものの、故郷を目指したオデュッセウスの船団は神々の怒りを買い、単眼の巨人キュクロプス、魔女キルケ(サマンサ・モートン)、鎧の巨人たちやセイレーンの歌など数々の試練に翻弄され、仲間は全滅。漂着した孤島で海の女神カリュプソ(シャーリーズ・セロン)に救われたオデュッセウスは、記憶を奪う蓮の実によって7年ものあいだ島に留め置かれる。

やがてカリュプソは彼の家族への思いを悟り、記憶を戻す手助けをする。妻から贈られたブローチを握りしめたオデュッセウスは再び海へ漕ぎ出し、奇跡的にイタケへ帰還する。

身分を隠した彼は、求婚者たちがテレマコス暗殺を企てていると知り、物乞いの姿で王宮に潜伏。愛する家族のために帰還した英雄が、欲望に支配された者たちとの最後の戦いに挑む。愛、欲望、裏切り、復讐――すべてが交錯する、ノーラン史上最大の王道アクション・エンターテインメント。

引用元:映画『オデュッセイア』公式|9月11日(金)日本公開

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