引用元:映画『ソウX』公式(公式X)
レビュー
王道スプラッターの復活
ソウシリーズと言えば、グロテスク・スプラッターの代名詞とも言われるシリーズです。
本作「ソウX」の主人公は、これまでのソウシリーズで連続猟奇殺人犯のジグソウとして登場してきたジョン・クレイマーが、脳腫瘍による余命宣告を受けたところで医療詐欺にあうという物語。
時系列でいうと「ソウ」と「ソウ2」との間にあたる話のようで、公開当時から考えると約19年ぶりにジョン・クレイマーの狂気に満ちた猟奇的殺人ゲームを見ることができるということになります。
スプラッター・グロテスクな描写の程度でいうと、これまで「テリファー」や「サンクスギビング」などを観てきた経験値があるからか、これまでのソウシリーズで考えると少々控えめのようにも感じました。
他のスプラッター系のホラーと違って、ソウシリーズないし本作は被害者自身の意思や行動によって結末を迎えるため、ジャンプスケアのような恐怖感はなく、登場人物が死ぬことに対する心構えをする時間がしっかりと設けられているからか、思っているほど肝が冷えるというような感覚はありませんでした。
とはいえ、自らを自傷していく様を長時間眺めることになるので、痛々しいのが苦手という方はまず無理なんじゃないかなと思います。
ジョン・クレイマーの美学
連続猟奇殺人犯と言われるジグソウにはジョン・クレイマーの他にも後継者がソウシリーズの中で多く登場します。
本作ではその中でも元祖ジグソウのジョン・クレイマーが主人公として描かれています。
ジョン・クレイマーが行う「ゲーム」には、ジョン・クレイマーが考える美学とも呼べるような理念がしっかりと存在し、ゲームに参加させられる被験者のこれまでの行いを元に「更生」させることを目的とし、更生の意思が見られなければそのまま死を迎えることになるというものです。
この美学は後継者にも引き継がれてはいくのですが、後継者の性格によって若干性質異なっており、正式なジグソウとしてゲームを行うのはジョン・クレイマーだけと言えるでしょう。
医療詐欺グループとのゲーム
何をどう言ってもジグソウは連続猟奇殺人犯であり、その行為は決して許されるものではありません。
しかし、本作の被験者は生きるために必死なジョン・クレイマーに対して医療詐欺を行ったグループであるため、劇中の表現としてしっかりと悪役として描写されているためか、いつのまにかジョン・クレイマーを応援したくなるような感情移入を引き起こします。
程度は違えど、犯罪者VS犯罪者の構図は、医療詐欺グループに対して「相手が悪すぎた」としか言いようがない状態で、同情すらしてしまいそうなほどでした。
まとめ
これまでソウシリーズはDVD等で鑑賞していて、ジョン・クレイマーを映画館で見るのは初めてだったのですが、こんなに弱々しさを感じるおじいちゃんだっけ?と思うほどで、ジョン・クレイマーを演じているトビン・ベルさんは現在82歳だそう。いつまでもお元気でいてほしいなと、劇中にいくつかの命が消えていく最中に思っていました。
元祖ジグソウの意思であるジョン・クレイマーの思想を強く感じることができる仕上がりで、かなり満足度が高かったので、シリーズファンの方は必見です!
作品情報
あらすじ
末期がんで余命宣告を受けたジョン・クレイマー(トビン・ベル)は、危険な実験的治療を試すためにメキシコへと向かう。しかし実際に現地に行ってみると、治療の話は詐欺だった。自分がだまされたことを知った彼は、自らをだました詐欺師や不正な治療に加担する医師たちに死のゲームを仕掛ける。
生きるか死ぬか、お前たち次第だー
引用元:映画『ソウX』|10月18日公開