引用元:映画『クレイヴン・ザ・ハンター』オフィシャルサイト | ソニー・ピクチャーズ(公式サイト)
レビュー
SSU初のR15+ ヴァイオレンスアクション
本作は「ヴェノム」や「モービウス」を代表とするソニーズ・スパイダーマン・ユニバース(SSU)に所属する作品です。
「ヴェノム」や「モービウス」のようにダークヒーローとなるような作品を取り扱うことが多いSSUですが、本作はSSU史上初のR15+作品となっています。
秘薬により並外れた五感と身体能力を得た主人公のセルゲイ(クレイヴン)の生い立ちから、現代の裏世界を牛耳る悪党との戦いを描いた物語となっています。
クレイヴンの能力的に、キャプテン・アメリカのような超人的なパワーがあるというほとでもなく、魔法を使うとか、目からビームを出せるというような派手さはなく、そういう意味ではスパイダーマンのような五感(センス)で戦っていくというスタンスで戦います。
スパイダーマンやアイアンマンのように自分で武器を作るというようなこともしないので、戦う際に使うのはナイフや吹き矢やクロスボウのようなアナログ武器。時には動物の牙を使うような野生的でヴァイオレンスな戦い方がR15+となった原因ではないかなと思います。
肉体的に超人的なパワーがあるわけではないせいか、戦闘シーンではクレイヴンのフットワークの軽さを中心に立ち回るため、緊張感がある一方で躍動感と荒々しさで魅せてくれます。
原作設定との違いの是非
本作の主人公のクレイヴンをはじめとする登場人物は、映画化に伴って原作の設定と大きく変えられた箇所がいくつか存在します。
これらの違いがファンにとってプラスとなるのかマイナスとなるのか、是非が問われるところかなと思います。
クレイヴン
最大の違いというとなんといってもクレイヴンの描き方に対する違いです。
原作ではスパイダーマンのスーパーヴィランとしてスパイダーマンを狙う存在として有名ですが、本作の立ち位置はさながら「パニッシャー」や初期の「グリーンアロー」のような悪を許さないダークヒーローのような描き方。
本作を見て知っただけであれば、クレイヴンがヴィラン側のキャラクターとなるとは到底思えないと思います。
ライノ
実はライノは「アメイジング・スパイダーマン2」の最後の方に、やたらメカメカしいキャラクターとして登場したことがあります。
上記のライノは原作設定の「パワードスーツ」を拡大解釈したものと思われるのですが、あまりにも原作と違う雰囲気になりすぎていて落胆した記憶があります。
他にも「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」でマルチバースの裂け目を閉じようとするシーンにシルエットが映ったり、何かにつけて存在を仄めかすイースターエッグ的なポジションとしてもよく登場しています。
その点、本作のライノのビジュアルは原作に寄っていて好印象だったのですが、こちらは「パワードスーツ」という設定を捨て去ってしまったが故に、どちらかといえば同じスパイダーマンのスーパーヴィランの「リザード」のような扱いになってしまってます。
彼がもう少し原作設定に沿った描き方をされる日は来るのだろうか…。
スパイダーマンとの関わり
ディズニーとソニーの間で交わされたスパイダーマンの契約がややこしいことになってしまったのはもはや周知の事実かなと思います。
そんな中で「ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース」としてスパイダーマンに関係するユニバースということで展開されているにも関わらず、実写映画にスパイダーマンが登場しないのは何らかの事情が動いているのでしょう。
その煽りを受け?、本来ならばスパイダーマンとクレイヴンの対決を描くというのがファンの中でも待ち望んでいる声が大きいくなっているはずです。
本作では、直接スパイダーマンとの関係性が示されたシーンは基本存在せず、SSUが終了することも公言されたようなので、スクリーン上でクレイヴンがスパイダーマンと対峙する日はまだまだ遠い先になりそうなのがとても残念です。
まとめ
原作を知っている方からすると違和感が拭えなかった感じのある本作ですが、個人的にはその違和感を含んだ上で、それなりに楽しめたと思っています。
特にクレイヴンの軽快なフットワークから繰り出されるヴァイオレンスアクションは一番の見どころかなと思います。
SSUは本作を持って終了ということですが、これから先のスパイダーマンの映画事情には注目していきたいです。
作品情報
あらすじ
幼い時に母親を亡くし、裏社会を支配する冷酷な父親から「強き者が生き残る。力こそが全てだ。」という精神を叩きこまれて育った少年セルゲイ(クレイヴン)。
ある日、父親と共に狩猟に出た際、突如現れた巨大なライオンに襲われ生死を彷徨う大怪我を負うが、ライオンの血がセルゲイの体内に入ったことで、<百獣の王>の力を持つ容赦なき“クレイヴン・ザ・ハンター”へと覚醒する。
〈狩り〉の対象は、金もうけのために罪無き動物を〈狩る〉人間たち。一度狙った“獲物”は確実に仕留めるまで、あらゆる手を使ってどこまででも執拗に追い続ける。
次々と〈狩り〉を実行し、彼らを動かす大きな組織へと近づいていくが…立ちはだかるのは、全身が硬い皮膚に覆われた巨大な怪物〈ライノ〉。さらに、病弱な身体を持つ最愛の弟ディミトリが危険にさらされたことでクレイヴンは激昂。やがて“裏の世界の殺戮者”と呼ばれる自らの父親と対峙することになる。
怒りのままに<狩り>を繰り返し、次第に暴走していくクレイヴンだったが、弟からは「兄さんはただ、殺しを楽しんでるだけ。」と心無い言葉を受けてしまう。大義のための殺しか?快楽を求める殺戮か?激しくエスカレートしていく〈狩り〉が、行きつく先は─?
引用元:映画『クレイヴン・ザ・ハンター』オフィシャルサイト | ソニー・ピクチャーズ(公式サイト)