引用元:DC公式(公式X)
レビュー
社会現象にもなったジョーカー待望の続編
公開直後から世間を賑わせた前作「ジョーカー」は、主人公のアーサー・フレックが社会の理不尽や自身の置かれた境遇によりバットマンシリーズでお馴染みのスーパーヴィランのジョーカーに変貌していく誕生譚を描きました。
「ジョーカー」が描くそのリアルな狂気性は、一歩間違えれば犯罪を仕方がないものであると助長してしまうように捉えてしまうような点で一つの社会現象となりました。
そんな「ジョーカー」ではクライマックスで主人公のアーサー・フレックが警察に捕まり、刑務所内で暴れるシーンから、どこからどこまでが現実なのか・全てはアーサーの妄想だったのではないか?などと様々な考察が行われました。
本作の「ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ」では前作「ジョーカー」の回答のように、実際に囚人となったアーサー・フレックの物語として幕が上がります。
レディー・ガガ演じるハーレイ・クイン
ハーレイ・クインと言えば、バットマンシリーズでジョーカーに対して盲目的に心酔するジョーカーの恋人として描かれることが多いキャラクターです。
賑やかでおバカキャラであっけらかんと楽しそうに犯罪に手をそめる姿が印象的で、「スーサイド・スクワッド」や「異世界スーサイド・スクワッド」などで中心的な立ち位置として描かれるほど、ファンも多いキャラクターとなっています。
そして本作ではレディー・ガガがそのハーレイ・クインを演じるというところで公開前から大きな話題になっていました。
では実際のところどうだったのかというと、そもそもホアキン・フェニックスが演じる本シリーズのジョーカーがいわゆるバットマンシリーズで描かれるジョーカーではなかったように、レディー・ガガが演じるハーレイ・クインもこれまでの印象とは大きく違った、より現実世界にいそうなリアリティ溢れるディティールで描かれていました。
そもそも本シリーズは細かな設定(ジョーカーの年齢とか)がバットマンシリーズとは異なるという点は留意しておかなければなりません。同様にハーレイ・クインも原作における細かな設定は踏襲されていないようです。
想像以上にミュージカル調
アーサー・フレックには妄想癖があるという点とレディー・ガガをハーレイ・クインとして起用するという点からか、随所に歌パートが挿入され、ミュージカル調な仕上がりになっています。
あくまでミュージカル調であって、ミュージカルかと言われるとそれはそれで何か違うような感じがするというのが感想で、ディズニーが得意とするようないわゆるミュージカル映画とは異なり、急に歌い出すことによる唐突さのようなものはそこまで強くはなく、歌パートへの入りは比較的自然なように思えるため、ミュージカルが苦手な方でもそこまで意識せずに鑑賞ができるかもしれません。
とはいえ、全体を通して挿入される歌パートはまぁまぁ多く、ミュージカルに耐性のない人にはちょっぴり苦しい演出になっているかもしれません。
評判は賛否両論?
大ヒットした前作の「ジョーカー」と比較して、本作は海外でもかなり賛否が分かれる評価となっているようです。
その理由の一つとしては上でも述べたミュージカル調である部分。アメコミ系が好きで観に来ている方にとってはジャンルとしてあまり得意ではなく、一定層違和感を覚えてしまう方がいるようです。
そして個人的に強く感じるの理由はジョーカーであるのにバットマンシリーズのジョーカーではないというところ。
やはりジョーカーというのはバットマンにおけるスーパーヴィランで、狂気に満ちた絶対悪として崇められる道化師なんです。その点は「ダークナイト」でヒース・レジャーが演じたジョーカーが個人的には至高であり、ジョーカーと言えばこうだよねというキャラクターを演じています。
しかし本シリーズのジョーカーは、前作で「誰しもがスーパーヴィランのジョーカーになり得る」というようなオリジンを描くことで惹きつけられたのですが、本作ではスーパーヴィランが持つカリスマ性のようなものを感じることが難しいままにエンディングを迎えてしまい、「バットマンのジョーカー」を観に来た方には不評であるというのが納得できてしまうような感覚を覚えました。
逆に、「ジョーカーではないただの犯罪者」の映画として見る分にはかなり出来がよく、前作と本作で一つの人生を見させられたというような感覚があります。
アーサー・フレックが劇中で苦悩する姿は、演じているホアキン・フェニックスと重ねて、どこか「ボーはおそれている」にも通じるようなところがあるようにも感じられました。
まとめ
前作の「ジョーカー」がかなりの話題作なだけあって、本作も注目度がかなり高い作品になっています。
ただ、評判としてはかなり賛否両論あるため、心構えとして「バットマンのジョーカー」であるという前提は頭の片隅に追いやって鑑賞するのが吉かと思います。
また、ストーリーとしては前作の「ジョーカー」からの続きものになりますので、本作を鑑賞する前に一度復習しておくことをお勧めします。
作品情報
あらすじ
ジョーカーになった男のその後ー
ラストに備えよ「生まれて初めて、俺は1人じゃないと思った」。
理不尽な世の中の代弁者として時代の寵児となったジョーカー。
彼の前に突然現れた謎の女リーとともに、狂乱が世界へ伝播していく。
孤独で心優しかった男の暴走の行方とは?
誰もが一夜にして祭り上げられるこの世界ーー
彼は悪のカリスマなのか、ただの人間なのか?
引用元:大ヒット上映中!映画『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』オフィシャルサイト