【レビュー】数分間のエールを

数分間のエールを
引用元:映画『数分間のエールを』公式@2024年6月14日(金)公開(公式X)

レビュー

モノづくりが好きなすべての人へ

音楽・漫画・映像など、モノづくりが好きな人にとって「モノづくり」というのは、人それぞれの想いや世界があルと思います。

「笑顔にしたい」「問いたい」というような「誰かの心を動かしたい」と想いを持って、作ったモノを世の中に何らかの形で発信している人が大半だと思います。

本作は、そんなモノづくりの楽しさや苦しさがド直球に心にぶっ刺さるような映画になっています。

似たような系統の作品として「ルックバック」や「ブルーピリオド」などが挙げられますが、モノづくりそのものの良さを言うのが約1時間という短い上映時間の中にギュッと濃縮されています。

独特な風味の3DCG

本作の映像のほとんどは3DCGで作成され、時折コミックのような2DCGの映像が差し込まれるというような映像構成になっています。

3DCGは「Blender」というフリーソフトで制作されているようで、数ある3DCGソフトはかなり高額なものが多い中、あえて「Blender」で作成しているところから想像するに、この映画を見た人がもしも3DCGに興味が出ればすぐにでもモノづくりに触れることができるようにというようなメッセージ性を感じられます。

3DCGなので、ちょっとゲームっぽい動きやキャラクターデザインになっているようにも感じましたが、それもまた世界観に良い具合にマッチしています。

色合いもパステル調とまではいきませんが、柔らかい風味で優しい世界観という印象が強いのですが、シリアスな場面では色合いの雰囲気も変わり、キャラクターの心情などを緩急をつけて表現しています。

使用楽曲の凄さ

メインのストーリーがMV(ミュージックビデオ)の作成ということもあり、主題歌だけでなく劇中の挿入歌も多く聞くことができます。

特に織重夕(歌唱:菅原圭)が歌う曲がとても力強く、曲から伝わってくるメッセージ性や曲の流れるシーンも相まって、めちゃめちゃ心を揺さぶられました。

主題歌はフレデリックが歌う「CYAN」という曲で、本作の「数分間のエールをver.」が公開されているので必見です。

普段何気なく聴いている音楽・見ているMV(ミュージックビデオ)ですが、本作を見た後に改めて見たり聴いたりしてみると、今まで気づかなかった新しい視点で視聴できるような気がします。

まとめ

当初、ノーマークだったため鑑賞するのが遅くなってしまった本作ですが、思っていた以上に良作でした。

正直なところでいえば高校生のわりに才能ありすぎじゃないか?とも思いはしましたが、それでも現実離れしたファンタジーな才能というわけではなく、年齢関係なく誰しもがモノづくりに向き合うことで共感することができる内容になっています。

特に今モノづくりに取り組んでいる方や、これからモノづくりの世界に飛び込もうとしている方は必見で、モノづくりに疲れたり大きな壁にぶち当たってしまったときに何度でも見返して元気をもらいたくなる、そんな作品だと思いました。


作品情報

あらすじ

「何かを作りたい。自分が作ったモノで誰かの心を動かしたい」

高校生の朝屋彼方(あさやかなた)は、MV(ミュージックビデオ)の制作に没頭していた。

ある夜、映像のモチーフを探して街を探索していた彼方は、
雨の中でストリートライブをする女性に出会い、その歌に衝撃を受ける。

「この歌のMVを作りたい、自分が待っていたのはこの曲だ」
その歌声と、感情をぶつけながら歌い上げる姿に心が突き動かされた。

そして翌日、彼方は教壇に立った新任教師の姿を見て驚愕する。

そこにいた織重夕(おりえゆう)は前夜、彼方の心を突き動かしたミュージシャンだった。

モノづくりを始め、その楽しさを糧に次に進む彼方と
モノづくりを諦め、その苦しさから別の道に歩き出した夕。

二人の作った作品は、それぞれに何をもたらすのだろうか。

引用元:映画「数分間のエールを」公式サイト 2024年6月14日(金)公開

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