引用元:映画『からかい上手の高木さん』【2024年5月31日公開】(公式X)
レビュー
原作・アニメと実写シリーズの違い
本作の実写版からかい上手の高木さんはTBSのドラマストリーム枠で放送された「からかい上手の高木さん」から10年後が舞台のお話です。
実写ドラマ版シリーズは原作・アニメ版と細かな設定・ストーリー展開が異なっており、本作の実写映画版からかい上手の高木さんもその実写ドラマ版の流れを引き継いだ映画オリジナルストーリーとなっています。
西方と高木さんは中学校の同級生という設定なのですが、本作では体育教師となった西方の元に教育実習生として高木さんが戻ってくるという設定が事前に公表された際、原作好きからは「同級生なのに高木さんが実習生?」のように疑問の声も上がったようです。
しかし、実写ドラマ版で高木さんはパリへ引っ越しているため、そういった経緯でこのような差が生まれたのではないかと思われます。
TVアニメシリーズの「からかい上手の高木さん」は放送時期的に原作を追い越すまで原作準拠で話が進んでおり、アニメ映画版となる「劇場版「からかい上手の高木さん」」で一つ大きなクライマックスを迎えます。
からかい上手な高木さんには、西方と高木さんが結婚したあとの話となるスピンオフ漫画「からかい上手の(元)高木さん」が存在しているため、物語の向かう先の収束地点としては原作・アニメ版も実写版もここに向かうことになります。
本作はオリジナルストーリーということで、原作や「劇場版「からかい上手の高木さん」」であった展開とは異なった設定・物語展開となるため、原作・アニメ版が好きな方からするとやはり少し違和感が拭えない設定・展開になってしまっているのは否めないかなという印象はどうしても残ってしまいました。
しかし、これもまた一つのパラレルワールド的な世界線であると考えられるのであれば、実写シリーズもちゃんとからかい上手の高木さんのいいところがギュッと濃縮されていて素敵な作品になっていると思います。
実写版ならではの小豆島の魅力
原作「からかい上手の高木さん」の原作者である山本崇一朗氏は香川県小豆島出身で、実写版からかい上手の高木さんは実際に小豆島で撮影が行われています。
原作者曰く、からかい上手の高木さんの舞台として小豆島を意識したというわけではないということらしいのですが、原作・アニメ版を見たことがある人であれば、どこか見たことがある風景が小豆島の風景としてスクリーンに広がっていると感じることができると思います。
スクリーンで見る小豆島は、とても自然豊かで空がとても広く、高い山?丘?の上からの景色はとても見応えのある絶景です。
劇中に町田君というひきこもりな生徒が登場するのですが、その町田君が絵に描く小豆島の景色もとても綺麗で、そりゃあこんな景色の中で暮らしていたら学校なんて行かずに絵でも描いていたくなるわなぁと思わず感じてしまうほどでした。
実際に、小豆島ではからかい上手の高木さんとのコラボレーションもしているようで、初日舞台挨拶で西方・高木さんの担任の先生となる田辺先生を演じた江口洋介さんは、小豆島に向かうフェリーの中で自身が演じる田辺先生のパネルを見つけ「こんな怖そうな先生を演じるのか」と感じたと話していました。
まとめ
漫画の実写化というのはどうしても原作ファンからすると改悪化されるという印象を強く受けてしまいがちですが、実写ドラマ版も放送開始直後は好評なコメントが多かったようで、本作の実写映画版もかなり良い仕上がりになっているのではないかなと思います。
原作漫画の方が20巻で最終巻を迎えたというところで、からかい上手の高木さんには「からかい上手の(元)高木さん」をはじめとするスピンオフ漫画がいくつか存在します。
特に直接の後日談となっている「からかい上手の(元)高木さん」はまだ映像化されていなかったと思うので、アニメ版も実写版もそれぞれで映像化される日が来るのがとても待ち遠しく感じます。
作品情報
あらすじ
10年の時を越えて紡がれる、
最高に愛おしい、初恋(からかい)の物語。とある島の中学校。隣の席になった女の子・高木さんに、何かとからかわれてしまう男の子・西片。
どうにかしてからかい返そうと策を練るも、いつも見透かされてしまい失敗…。そんなかけがえのない毎日を過ごしていた二人だったが、ある日離ればなれになってしまう…。
それから10年――、高木さんが島に帰ってきた!「西片、ただいま。」
引用元:映画『からかい上手の高木さん』公式サイト
母校で体育教師として奮闘する西片の前に、教育実習生として突然、現れたのだった!
10年ぶりに再会した二人の、止まっていた時間と、止まっていた「からかい」の日々が、再び動き出す――。