引用元:映画配給 ギャガ株式会社(公式X)
レビュー
1人で2人、2人で1人
本作のコンセプトは化学薬品による分身が引き起こす末路がどのようなものなのかというところ。
分身といっても、全く同じ自分が生成されるわけではなく、一番美しさや活力がみなぎっている状態の自分を生み出し、それぞれに自我があるのではなく、意識・精神体は1つであるという設定。
1つの精神に対して身体は2つという設定は今までもありそうに思えて意外と無かったかなと思います。
最初は「ミッキー17」のような設定を想像していたのですが、あくまで自分は1人というところで差別化になっていて、斬新さを感じました。
展開への油断
化学薬品であるサブスタンスの使い方の注意点としては、”例外無く” 1週毎に分身と母体(元の自分)で精神を入れ替えること。
当然、理想的な身体を必要としていた主人公からすれば、可能な限り分身でいられる時間が長ければ長い程よく、中身は自分1人なのに、理想(分身)と現実(母体)のギャップに追い詰められていきます。
この過程に関しては、現実世界でも問題になっている薬物依存に対するメッセージにも捉えられ、嫌にリアルで見ていて自分だったらこの依存状態から正しく抜け出せるのか?と考えさせられました。
問題は終盤にかけての展開。薬物依存の終端であり末路とも言える展開ではあったのですが、描写される内容が徐々に狂い始めた結果、最初の方では想像もしていない展開に思考が追いつかないレベルでした。
まとめ
本作はジャンルでいうとホラーに分類されるようなのですが、ホラーとしては珍しいアカデミー賞を受賞しています。
ただ一癖も二癖もある本作なので、好き嫌いは両極端に分かれそうな印象を持ちました。
ホラーと言っても決して王道系ホラーではないので、ホラーを見たという感覚は無く、かなり広義の意味でのホラーだなと感じます。
薬物依存がもたらす人生と予想できない結末をご自身で体感してみてください。
作品情報
あらすじ
元トップ人気女優エリザベスは、50歳を超え、容姿の衰えと、それによる仕事の減少から、ある新しい再生医療<サブスタンス>に手を出した。
接種するや、エリザベスの背を破り脱皮するかの如く現れたのは若く美しい、“エリザベス”の上位互換“スー”。抜群のルックスと、エリザベスの経験を持つ新たなスターの登場に色めき立つテレビ業界。スーは一足飛びに、スターダムへと駆け上がる。
一つの精神をシェアする存在であるエリザベスとスーは、それぞれの生命とコンディションを維持するために、一週毎に入れ替わらなければならないのだが、スーがタイムシェアリングのルールを破りはじめ―。そこからどうなるかは・・・想像しても無駄♡
引用元:ABOUT THE MOVIE | 映画『サブスタンス』公式サイト
一生忘れられない最高の映画体験をお楽しみに。