引用元:映画『変な家』公式(公式X)
レビュー
ジャンルとしてはミステリー?ホラー?
原作者がホラー作家の雨穴さんというところもあって、ベースはミステリーなのですが、人が怖い系の和風ホラーといった印象でした。
オカルト映画ではないのでおばけとかそういうのではないのですが、ストーリーの切り口としては「意味がわかると怖い」といった類。
PVでも描写されていますが、まさかそんな…。のようなただの妄想からストーリーが展開されていきます。
実際に鑑賞した劇場には小学生くらいの子供も見にきていたのですが、きっとトラウマだろうこれと思いながら鑑賞する程度にはちゃんと人が怖い系のホラーですので、苦手な人は身の回りの方の評判を聞いてから鑑賞するのをおすすめします。
ディザービジュアルを見て考えてから見るという楽しみ方
本作のフライヤー等に使われているディザービジュアルは以下のようなデザインになっています。
引用元:映画『変な家』公式(公式X)
「あなたには、この間取りの異常さがわかりますか?」と鑑賞者に対して挑戦とも捉えられるようなキャッチコピーが書かれています。
これを見て、本作鑑賞前にクイズ感覚で建築の知識もなにもない素人が違和感のあるところを考えてみました。
果たしてこれらの違和感は的を得ているのでしょうか…?
①台所にある謎の空間
これが一番簡単な違和感だと思います。
PVでも触れられている箇所ですが、台所とリビングの間に入り口の無い謎の空間が存在しています。
なんらかの建築設計上のミスでしょうか?
今自分が住んでいる家がボロ家なので実際にたまにあるのですが、壁の中にネズミが入り込んでしまうというような状態を想像してしまい、どうしても気持ちのいいものではありません。
②子供部屋が二重扉になっている
普通に考えて一般家庭において二重扉が必要になることはほとんどないと思います。
じゃあ逆にどういう時に必要なのか?例えば、宇宙ステーションで、宇宙から宇宙船内に入るときって必ず二重扉ですよね。これは扉を開けた時に宇宙船内の空気を全て排出してしまわないための措置です。
一般家庭の話に戻すと、例えば犬や猫などのペットが家の外に脱走してしまうのを防ぐために二重扉にしておくというのは有効そうです。
しかし、本作で提示されている間取りは子供部屋。
ここで、本作の変な家と同じようにYoutubeで話題になっている、「霊と必ず出会える家-暗夜」のことを思い出しました。
その動画では、本来なかったであろう階段に不自然に後から取り付けられたような扉があり、階段の外側から南京錠によって施錠が可能という状態になっています。これは明らかに階段の上にいる何かを外に出さないための仕組みでした。
つまり子供を外に出さないための二重扉…?監禁…?
③分離されたシャワー室と浴室・水回り
2Fを見てみると、上部の洋室の奥に洗面台とシャワー室が配置されており、離れた右下部に浴室が配置されています。
一時ニュースで話題になっていた、某市長が市長室にシャワー室を増築していたなんていうこともありましたが、そういう理由でもなければ、よほど金持ちの豪邸とかで無い限り、わざわざシャワー室を別で用意なんてするのでしょうか?
また建築設計的にどうなのかはわかりませんが、1Fと2Fを重ねたときに台所とダイニング横のトイレが2Fのシャワー室・浴室などの水回りと重なります。
一般的な家庭であれば、水回りって配管などの兼ね合いによって縦に重ねて1箇所にまとめるというのがコスパのいい造りではないでしょうか?
なるべく風呂トイレは近い場所に作るといって前提で考えると、ホテルが隣り合った部屋だけどベットやバスルームの位置が鏡張りのように反転した間取りになっているのも納得できるかなと思います。
そしてなにより2Fのトイレは子供部屋からしか入れません。
2Fの寝室で普段すごすであろう人物はトイレに行くにしろシャワー・風呂に行くにしろアクセスの悪い場所に部屋があるなという印象がどうしても残ってしまいます。
間取りには、必ず作った人の意図が存在する。
正直なところパッと見ただけではふーん程度にしか見えなかった間取りですが、「変なところがあります」と言われて疑う気持ちで見ることで初めて上記のような違和感に気づくことができました。
でも考えてみれば「間取りには、必ず作った人の意図が存在する。」というのはその通りで、新築で家を建てようなんて考えた時に、台所は玄関から近い方が荷物の搬入が楽でいいかなー?とか、風呂と脱衣所の近くに洗濯物を干すサンルームがあると便利そうだなーとか、そういうことを考慮して間取りを設計します。
つまり建築設計上不可能な理由がない限りその間取りには何かしら意味が存在するはずです。
そう考えてみた時に、自分の家はどうだ…?なんてちょっと思うと怖くなるような気持ちも少ししてしまいますね。
原作は1本のYoutubeの動画
本作の原作者である雨穴さんはウェブライターでありホラー作家です。
Youtubeチャンネルを開設しており、その中でも本記事執筆時点で1700万回再生越えの超話題作となった変な家の動画が原作となります。
この変な家の動画は後に、文庫版として書籍化され、コミカライズもされています。
まとめ
最初思っていたストーリー展開とはちょっと違ったジャンルの方向に展開していったので、若干の戸惑いはありましたが、やはり面白い。
雨穴さんの出している動画はどれも奇妙で不気味な独特な動画が多いですが、なぜか引き込まれる魅力があります。
変な家は変な家2という続編の動画と文庫本が出版されているので、本作の興行収入や評判次第では変な家2も映画化されるのではないでしょうか?今後に期待して待ちましょう。
作品情報
あらすじ
この家、何かが、変、ですよね?
間取りには、必ず作った人の意図が存在する。
そこには、むやみに触れてはいけない人間の闇が見えることも・・・“雨男”の名前で活動する、オカルト専門の動画クリエイター・雨宮(間宮祥太朗)は、マネージャーから、引越し予定の一軒家の間取りが“変”だと相談を受ける。そこで雨宮は、自身のオカルトネタの提供者である、ミステリー愛好家の変人設計士・栗原さん(佐藤二朗)にこの間取りの不可解な点について意見を聞いてみることに…。次々と浮かび上がる奇妙な“違和感”に、栗原さんはある恐ろしい仮説を導き出す…。
そんな矢先、ある死体遺棄事件が世間を騒がせる。その現場は、なんとあの【変な家】のすぐ側だった。事件と家との関連性を疑った雨宮は、一連の疑惑を動画にして投稿することに。すると、動画を見た「宮江柚希」なる人物(川栄李奈)から、この家に心当たりがあるという連絡が入る。
柚希と合流したことで、さらに浮上する数々の謎。そして新たな間取り図。やがて二人は、事件の深部へと誘われていく―。
紐解かれていく間取りの謎の先に、浮かび上がる衝撃の真実とは─。これ以上踏み込めば取り返しのつかないことになるかもしれません。
引用元:映画『変な家』公式サイト
それでも、この秘密を覗く勇気がありますか?