引用元:映画『#真相をお話しします』公式(公式X)
レビュー
ゴシップに隠された本当の怖さ
本作のメインは、世の中にまだ出ていないゴシップを暴露することで得られる投げ銭で一攫千金を狙うことのできるYoutubeチャンネル【#真相をお話しします】を中心に展開される物語です。
その特性上、スピーカー(暴露)ごとに短編ドラマがいくつか放映されるといった構成が主体となっているのですが、それだけではなく、すでに社会現象となっている【#真相をお話しします】を視聴する視聴者や暴露を話すスピーカーなど、一歩引いた現実の世界で起こっているドラマもメインとして描かれています。
暴露チャンネルといえば、参院選で当選したガーシーで一時期話題になったジャンルです。
取り扱われる内容から、芸能人やYoutuberなどの有名人に大きな影響を与えてしまうため、場合によっては名誉毀損や侮辱罪として訴えられることもあります。
そのようなリスクを負いながらも投げ銭という金銭を目的に暴露話を話したがる人が絶えないというのが、いかにも現代文化の抱える闇という感じがします。
本作の中で話される暴露は、殺人絡みな内容のものも含まれる関係で、そこまで大袈裟なものではないですが一部サスペンスな描写があるため、苦手な方は注意してください。
大森元貴の演技力
主演を務めたのが、菊池風磨(timelesz)と大森元貴(Mrs. GREEN APPLE)の2人。
メンバーを一新したことによって話題になったtimeleszの菊池風磨は過去に何度もドラマに出演している経歴があるため、抜擢されることに違和感はなかったのですが、本作で注目してほしいのはMrs. GREEN APPLEのメインボーカル・ギターを担当する大森元貴の演技力についてです。
演技を求められるドラマや映画というジャンルにおいての出演歴はまだ浅く、今回の主演抜擢を見て珍しく思った人も多いと思います。
大森元貴の演技は東映特撮ファンクラブで2024年8月に配信が開始された「忍者戦隊カクレンジャー 第三部・中年奮闘編」でファン層の間で話題となり、とてもアーティストとは思えない演技力で特撮ファン・Mrs. GREEN APPLEファンを魅了しました。
2025年3月になってからは連続テレビ小説の「あんぱん」に出演することが決定したことでネットニュースにもなっていました。
本作でも、俳優顔負けの演技で違和感なく映画に集中できたので、大森元貴の演技力を心配する必要はありませんでした。
俳優としてのキャリアはまだ始まったばかりなので、今後出演する機会が増えていくにつれ演技力により磨きがかかっていくとすると、大森元貴という人間の表現の幅はそこ知れず、これからの活躍に大きな期待を抱かされました。
まとめ
作中で語られるゴシップを再現した短編ドラマは、スピーカーがどういう人なのかというのを想像しながら見ることができるので、短編とはいえ1つ1つになかなかの満足感がありました。
最後に語られる「真相」とエンディングから、思わず鑑賞後の帰りに原作小説をパラ見してしまいました。
原作と映画とではいくつか設定に乖離があるようでしたが、作品中で問いかけられるメッセージ性という部分では本質的に同じものになっていたので、良い意味で面食らったなという印象が残りました。
思わず面食らってしまうようなメッセージ性とはどんなものなのか、その真相はぜひ映画館にて自分の目で確かめて見てください!
作品情報
あらすじ
かつて一流商社の営業マンだった桐山(菊池風磨)は、友人に裏切られ、借金を抱え、以来、人と深い関わりを持たず、ビルの警備員として暮らしている。しかし、ビル内に事務所を構える、不思議な雰囲気の男・鈴木(大森元貴)の出現で、桐山の人生は再び動き出す。人懐っこく話しかけてくる鈴木を始めこそ煙たく思っていたものの、荒み切った桐山に多くを聞かず、受け入れてくれる姿勢に、桐山もいつしか心を許していた。事件以来三年ぶりにできた友人だった。
そんなある日、鈴木が桐山に一つの提案をする。それは、世間を騒がす暴露チャンネルで桐山自身の身に起きた事件の真相を語ることだった。バーチャル生配信暴露チャンネル【#真相をお話しします】、それはランダムに選択された視聴者が匿名で“有名人のゴシップ” “殺人事件の報道されていない真相”などとっておきの暴露話を披露し、そのたびに多額の投げ銭が投じられる前代未聞のチャンネル。
「投げ銭なんかじゃんじゃんきますよ。 桐山さんの話、すごいから。
そしたら桐山さん、大金持ちじゃないですか。」
思いもよらぬ提案に舞い上がる桐山だったが、勇気を出して一歩を踏み出すことに。「これは三年前、僕の身に起こった本当の話です。」
殺人がらみの壮絶な物語に観衆は過去最大の盛り上がりを見せ、一瞬にして、100万、200万と投げ銭が積みあがっていく。遂に借金地獄から救われた桐山は鈴木への感謝の気持ちでいっぱいになったのだった。「次のスピーカーは僕です」
隣から聞こえた大きな声とともに、警備室で不敵な笑みを浮かべる鈴木の顔が画面いっぱいに映し出される。唖然とする桐山を横目に鈴木が語る、すべてを覆す「真相」とは――。