【レビュー】サユリ

サユリ
引用元:映画『サユリ』公式(公式X)

レビュー

規格外なジャパニーズホラー

最初は王道的で一般的なジャパニーズホラーかと思っていたのですが、トレーラーの後編から様子が変わり、怨霊と戦うっていう構成はなかなかに奇抜で規格外な設定。

本作をネタバレなしに語るというのはなかなか難しいところではあるのですが、公式サイトに掲載されているあらすじが結構な量書かれているので大丈夫かと心配になる程度。

あらすじにある前半パートはしっかり王道系のジャパニーズホラーを踏襲しており、中古物件に棲みついている系の怨霊サユリによる呪いによって次々と怪死していく神木家の様相は、なかなかに不気味で背筋が凍ります。

後半は覚醒したおばあちゃんと生き残った主人公の則雄がサユリと対峙する構成なのですが、ジャパニーズホラーというよりどちらかといえばチャウ・シンチーが手がけた「少林サッカー」や「カンフーハッスル」を見ているような感覚に近く、エンタメ強めの怨霊バトルが始まります。

CGの使い方問題はジャパニーズホラーあるある?

本作を見ていてどうしても気になってしまったのがCGの使い方です。

前半のジャパニーズホラーパートはCGというよりも視覚効果といったニュアンスが強く、サユリがチラッと見え隠れするシーンや神木家が襲われるシーンは違和感なく恐怖を感じることができました。

ただ後半の対決パートになると、どうしてもCGのチープさが目立っているように感じてしまい、シリアスなパートなはずなのに少々没入感にかけてしまうのが残念に感じました。

このジャパニーズホラーでのCGの使い方は、過去に「貞子3D」でも感じた記憶があり、怨霊をクリーチャーとして表現するためにCGありきな描写がくるとどうしても「なんか違う」と感じてしまうものがあるように思います。

原作は漫画

ジャパニーズホラーには原作っていう原作はあまりないのかなと思いがちですが、本作サユリには原作として漫画が存在します。

原作と映画ではそもそも建物の構造が違うなどの相違点はあるものの、それを感じさせないような脚本になっており、原作ファンも原作を知らない方も予習なしでそのまま見て楽しめる作品に仕上がっています。

まとめ

間違いなくジャパニーズホラーなんだけどそれとは違う奇抜で規格外な感覚はとても斬新で楽しめました。

信じる信じないはおいておいて、いわゆる怨霊や悪霊と呼ばれる存在は現実世界でも多数報告があるものですが、この映画を見たことによって、霊という存在に対してどのように向き合ったら良いのかを学べたような気がします。

ジャパニーズホラー特有の後ろ髪を引かれるような後を引く感じもなくスッキリ見られるので、ホラーが苦手な方でも元気ハツラツ!で鑑賞することができるのでおすすめです!


作品情報

あらすじ

神木家は、夢のマイホームへと引っ越してきた。父親の昭雄(梶原善)が郊外にある中古の一軒家を購入したのだ。

高校に通う快活な長女・径子(森田想)は自室を持てることを喜び、中学3年の長男・則雄(南出凌嘉)はバルコニーからの景色を眺め、新生活にワクワクした。が、小学5年生で怖がりの弟・俊(猪股怜生)だけは何かを感じ、不安な気持ちだった。

別居していた祖父母、章造(きたろう)と春枝(根岸季衣)も一緒に暮らすことになったのだが、春枝は認知症が進んでおり、引っ越し早々、径子とその母親の正子(占部房子)を間違えたり、ひたすらある一点を見つめ続けてしまったり。

則雄は学校で隣のクラスの女生徒、初対面の住田(近藤華)に突如「気をつけて」と話しかけられ困惑する。住田には霊感があるようだ。すると理不尽な出来事が神木家を襲っていく。弟思いの径子が俊に暴力を振るい、翌日には父の昭雄が死んだ。連鎖するように、祖父の章造も──。

しばらく登校しない則雄を心配した住田が訪れ、忠告した。「あの家、早く出て行って! 出ていかないとみんな……」。彼女の言葉通りに家では則雄の目の前で、弟、姉、母親が次々と怪死を遂げてゆく。

追い詰められ、テーブルの下に隠れるも怯えたままパニック状態の則雄。すると、不気味な笑い声とともに、謎の少女が近づいてきた。そこに現れ、救ってくれたのはすっかりボケていたはずの、春枝ばあちゃんであった。
「夢じゃなかったか。すっかり目が覚めてしまったわい。みんな死んだんか?」
「なんやチラチラ見えとったアレが、全部やりおったか?」そして意気消沈した則雄に発破をかけ、ばあちゃんは「残されたワシらに何ができる?」と問い、さらにこう雄叫びを上げたのだ。
「いいか。ワシら二人で、さっきのアレを、地獄送りにしてやるんじゃ! 復讐じゃあ!!!!」

引用元:映画『サユリ』公式サイト

トレーラー

原作