引用元:20世紀スタジオ(公式X)
レビュー
シーザー3部作から繋がる新たなサーガ
前作の「猿の惑星:聖戦記」でシーザー3部作が完結し、本作の「猿の惑星/キングダム」では「猿の惑星:聖戦記」のラストでシーザーが息を引き取るシーンから始まります。
あらすじにある「今」とは前作の「猿の惑星:聖戦記」を指し、そこから300年経過した時代が舞台となります。
この時代ではオリジナルシリーズの「猿の惑星」と同じように、流暢とまではいかなくとも猿が言葉を話し、人間はシーザー3部作で描かれた猿インフルエンザの影響で話す能力を失くし文明的な生活を送ることのできない状態となっています。
そんな中、鷲を飼い慣らすイーグル族という部族に属するノアというチンパンジーが主人公として描かれます。
過去の猿の惑星シリーズでは、犬や猫が感染症により絶滅したというような表現がされたりしていましたが、猿が人間以外の別の動物と共存する生活を描くのは初めての設定になるかと思います。
また、本作からノアを主人公とした新たなサーガが展開されるというところもあり、同じ世界観設定ではあるものの、シーザー3部作を含む過去の猿の惑星シリーズを見たことの無い方でも楽しむことのできる設定になっています。
オリジナルシリーズ「猿の惑星」を意識した世界観・展開
シーザー3部作は、人類衰退の理由が猿インフルエンザによるパンデミックが原因となっているなど、オリジナルシリーズとは世界観設定が大きく異なった作品となっていました。
そのシーザー3部作から繋がる世界観であるという点に加えて、オリジナルシリーズの「猿の惑星」を意識した世界観・ストーリー展開となっています。
本作の猿たちは「エイプは一緒なら強い」を代表とするシーザーの言葉を教義とし文明を築いています。
しかし、シーザーの訴えていた「人間との共存」だったり「エイプはエイプを殺さない」といった部分は300年もの時間の流れとともに忘れられてしまっている部族も存在します。
オリジナルシリーズの「猿の惑星」では猿たちが奴隷や研究対象として人間狩りを行います。
本作では、目的こそ異なるものの、猿が人間を追い立てて人間狩りを行うシーンがあります。
特にPVの中にも登場するシーンで背の高い草の根を書き分け人間が猿から逃げるシーンが印象的で、「ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク」で隊員たちがヴェロキラプトルに次々狩られていくシーンを彷彿とさせます。
物語の中で一緒に冒険することになる人間の女性をシーザーの教えによりノヴァと呼んでいます。
これもオリジナルシリーズの「猿の惑星」から引き継がれた設定の名前であり、「猿の惑星:聖戦記」に登場した少女にも同様にノヴァという名前で呼んでいます。
考察しがいのあるラスト
オリジナルシリーズの「猿の惑星」では最後のシーンで崩れた自由の女神を発見することにより、今いる惑星が未知の惑星ではなく地球であるということを明かすというシーンがあまりにも衝撃的で話題に上がりました。
本作でもその流れを意識しているのか、衝撃的というほどではないにせよ、かなり考察しがいのあるラストシーンで幕を閉じます。
それはオリジナルシリーズ・シーザー3部作を含む過去作を見たことのある方であれば、より考察できる範囲が膨らむところで、今後のノアを主人公とするサーガがどのような展開を迎えることになっていくのかを想像する楽しみを与えてくれます。
まとめ
本作から新たなサーガが始まるということもあり、ここから先のシリーズ展開に大いに期待ができます。
過去の猿の惑星シリーズを見たことがない方でも楽しむことができる本作ですが、本作をきっかけに過去の猿の惑星シリーズを復習することで、よりノアが歩んでいく冒険を楽しむことができるので、猿の惑星に興味が湧いた方はぜひ過去の猿の惑星シリーズを見てみてください!
作品情報
あらすじ
今から300年後の世界、猿たちは絶対的支配を目論み、巨大な帝国<キングダム>を築こうとしていた。一方、人類は退化し、まるで野生動物のような存在となっていた。
そんな世界で生きる若き猿ノアは、ある人間の女性と出会う。
彼女は人間の中で“誰よりも賢い”とされ、猿たちから狙われていた。
猿と人間の共存は不可能なのか。はたして、この世界で生き残るのは―。完全新作として描かれる新たな“猿の惑星”。
引用元:シリーズ完全新作 映画『猿の惑星/キングダム』|20世紀スタジオ公式
ノアが出会った人間の女性に隠された秘密とは何なのか。
進化は本当に“彼ら”を選んだのか。この惑星に隠された驚くべき真実とは―!