引用元:20世紀スタジオ(公式X)
レビュー
シリーズ初のプレデター視点での物語
1987年の第1作『プレデター』が公開されて以来、人類とプレデターとの死闘は、常に「狩る者」と「狩られる者」という構図の中で描かれてきました。
本作では、これまで謎に包まれていたプレデター自身が主人公。
主人公デクは、従来のプレデター像とは異なり、まだ未熟で、狩りの哲学や誇りに苦悩する若者として描かれます。
彼が信じてきた「強さこそが正義」という価値観は、追放先の過酷な地で少しずつ揺らいでいきます。この内面的な葛藤が、シリーズにこれまでなかった“成長物語”の要素を与えており、まるでプレデター版のヒーロー譚を見ているかのようです。
また、物語の構造を見ていくと、どこか少年漫画的なテンションを感じます。追放された主人公が己を鍛え直し、新たな仲間と出会い、より強い敵に挑むという展開は、主人公の名前が同じ「デク」であるところからも『僕のヒーローアカデミア』を彷彿とさせます。
ただし、そこにあるのは地球的な“友情”や“正義”ではなく、プレデター独自の暴力と名誉の哲学。その違いが異星の文化を浮き彫りにし、観客を未知の価値観へと引き込みます。
殺意の塊でしかないゲンナ星の動植物たち
デクが追放された惑星ゲンナは、まさに“バッドランド”の名にふさわしい死の世界です。
広大な荒野には、獲物を真っ二つにするほどの牙を持つ獣が潜み、空を飛ぶ生物でさえ獰猛な捕食者。視覚的にもその世界観の造形は圧巻で、どの生物も一瞬で観客を震え上がらせるような存在感です。
そんな中で、ゲンナ星の動植物がなぜこれほどまで危険な進化を遂げたのかという謎も、観る者の想像を掻き立てます。これは想像に過ぎませんが、環境の過酷さ、生態系の密度、あるいは他種族による干渉といった複合的な背景が垣間見えます。それは単なる“モンスターの見せ場”に留まらず、この星そのものをひとつのキャラクターとして成立させる重要な要素になっています。
他作品やエイリアンシリーズとの関係性
『プレデター:バッドランド』は単独作品として十分に完結していますが、シリーズファンを喜ばせる要素も随所に散りばめられています。
その中でも特筆すべきは、『エイリアン』シリーズとの因縁深い企業「ウェイランド・ユタニ社」の登場です。この名が出た瞬間、長年のファンであれば思わず身を乗り出すことでしょう。彼らの存在が物語世界に与える影響は最小限ながら、確実に“あの宇宙”との接点を示唆しています。
トラクテンバーグ監督は、こうしたクロスオーバー的要素をただのファンサービスにせず、物語のリアリティを補強する装置として組み込んでいます。プレデターと人類(あるいは企業)との関係をめぐる設定の提示は、今後のシリーズ展開を想起させる布石のようにも見えるでしょう。長きにわたる“エイリアンVSプレデター”の構図が、また新たな形で動き出すのか。その可能性を感じさせてくれます。
まとめ
プレデターという存在の内面を初めて描くことで、単なるバトルものを超えた“生と誇り”の物語になっています。アクションの迫力はもちろんのこと、アンドロイド・ティアとの交流が生み出す温かみが、これまでのシリーズにはなかった余韻を残します。
これから観る方には、ぜひ「狩る者」から「生きる者」へと変わっていくプレデターの新しい姿を味わっていただきたいと思います。シリーズの未来を期待させる力強い一作です。
作品情報
あらすじ
誇り高き戦闘一族から追放され、宇宙一危険な“最悪の地<バッドランド>”に辿り着いた若き戦士・デク。
次々と敵に襲われる彼の前に現れたのは、上半身しかないアンドロイド・ティア。「狩り」に協力すると陽気に申し出た彼女には、ある目的があった・・・。
果たして彼は、「究極の敵」を狩って真の「プレデター」になれるのか、それとも「獲物」になってしまうのか。
引用元:プレデター:バッドランド|20世紀スタジオ公式




