【レビュー】夏目アラタの結婚

夏目アラタの結婚
引用元:映画『夏目アラタの結婚』公式(公式X)

レビュー

日本版ジョーカー!?

映画館内で流れる予告を見て初めてこの作品を知ったのですが、その予告から受けた印象は「日本版ジョーカー!?」でした。

ジョーカー」の新作「ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ」も10月に公開されるということもあり、同時期に予告が流れていたということもあり、どちらの作品もピエロ面会室で浮かべる不適な笑みといったシーンが予告の中でも印象的で、ある意味では「ジョーカー」というビッグタイトルに追従する形で名を売るような、考え抜かれたマーケティングを感じました。

実際の作品の内容でいうと、最終的な感想としてはピエロである必要はあったか…?と思わざるを得ない感じを受けたので、「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」のようなピエロ系ホラー映画を期待して見ると肩透かしをくらいます。

濃すぎるキャラクター

柳楽優弥演じる主人公の夏目アラタも元ヤンという過去から垣間見える粗暴さもありつつ、品川真珠の心理的な面を読もうとするような頭脳はな一面も見せてくれます。

個人的には柳楽優弥が主演を演じた「ガンニバル」の印象が強く残っていたので、それに比べるとおとなしく写ったのですが、雰囲気としては似たような役柄を感じました。

黒島結菜演じる死刑囚の品川真珠がものすごくミステリアス・不気味で、本当に何を考えてるかわからないキャラクターで、一見まともに喋っているように見えるシーンでも腹の底が全く見えず、そんな中でチラっと見える不気味で気色の悪い歯並びが恐怖を掻き立てます。

見間違いでなければスタッフロールに友情出演と記載されていた佐藤二郎演じる藤田慎吾というキャラクター。死刑囚アイテムコレクターというめちゃめちゃ癖が強いな設定で、なかなかに良いスパイスになっています。

良い意味で混乱するストーリー

死刑囚の品川真珠が、そもそも言ってることや態度が二転三転するので、それに振り回されるかのように混乱するようなストーリーになっています。

真面目に品川真珠の供述をもとに、品川真珠が死刑を受けることになった事件の謎を解き明かそうと推理するという楽しみ方もあり、1つ1つの事件にあった動機や背景など、事実が判明したときにスッキリとするようなしないような感覚はなかなかに奇妙です。

脱出ゲームのような感覚でストーリーを楽しむことが出来たので、いつも以上に頭を使ったような感じもしました。

まとめ

良い意味でも悪い意味でも、予告を見て受けた印象とは結構違った展開を見せてくれた本作。

ミステリーとしての出来もよく、キャラクターの不気味な感じもかなり秀逸なので、おすすめできる作品です。


作品情報

あらすじ

元ヤンで児童相談員の夏目アラタ(柳楽優弥)が切り出した、
死刑囚への“プロポーズ”。
その目的は、“品川ピエロ”の異名をもつ死刑囚、
真珠(黒島結菜)に好かれ、消えた遺体を探し出すことだった。

毎日1日20分の駆け引きに翻弄されるアラタは、やがて真珠のある言葉に耳を疑うーーー
「ボク、誰も殺してないんだ。」
プロポースからはじまった、予想を超える展開。
日本中を震撼させる2人の結婚は、
生死を揺るがす<真相ゲーム>の序章にすぎなかった・・・。

引用元:Introduction / Story | 映画『夏目アラタの結婚』オフィシャルサイト

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