引用元:【公式】マーダー⭐︎ミステリー 探偵・斑目瑞男の事件簿(公式X)
レビュー
マーダーミステリーとは?
マーダーミステリーとは、殺人などの事件が起きるシナリオを舞台に参加者が推理をしてそれぞれの目的の達成を目指すゲームです。
参加者は登場人物を役柄として割り当てられ、TRPGのようにそれぞれの役になりきって会話を進めていきます。
それぞれの役柄にはその役に関する年齢・出身といった設定、その役しか知らない情報、その役が事件が起こった時に何時何分に行動したかのスケジュール、その役が最終的に勝利するための目的などの情報を持ち、勝利条件となる目的を達成するために行動を行います。
言うなれば、TRPGと人狼を掛け合わせたようなゲームで、最終的な結果次第でシナリオのエンディングに変化が起こるようなものもあります。
ゲームの進行には会話フェーズと調査フェーズがあります。
会話フェーズでは参加者全体での議論や特定の人を指名した密談が可能です。
調査フェーズではシナリオの舞台内にある施設や場所に言って証拠となるような情報がないかを探索します。
これらのフェーズを繰り返し、最後に犯人と思う人への投票を行い、ゲームのエンディングとなります。
それぞれの役柄に設定される目的の中には、特定の情報を開示しないといったものも含まれており、他の参加者から問い詰められる質問をいかに回避しつつ、自分の目的を達成することができるのか?というところがゲームの醍醐味となっています。
探偵・斑目瑞男って?
2021年に朝日放送テレビにて「マーダー★ミステリー 探偵・斑目瑞男の事件簿」としてドラマ化。2022年には第2弾が放送されるなど、すでにドラマとしてあったシリーズの劇場版という位置付けが本作ということだそうです。
ただ、個人的に朝日放送テレビが入らない地域に住んでいるため、このシリーズ自体完全に初見で本作を見ました。
コンセプトがコンセプトなだけあって、ドラマシリーズを見ていないとわからないというようなことは一切なく楽しむことができる作品になっています。
本作の進行・コンセプト
本作のコンセプトとなるのがマーダーミステリー。
これを映像化するのにあたって取られた手法が、俳優陣に与えられているのはキャラクターの設定と行動指示のみ。書くシーンのセリフはほぼアドリブでの撮影というもの。
ストーリーの核となるプロローグ部分や、各キャラクターが持つ過去のストーリーなどは事前か事後かにしっかりとしたセリフありの状態で撮影されたものが、随所に挿入されますが、劇中の大部分はアドリブによる議論が中心となっています。
アドリブということは当然俳優陣の行動も定まっていないため、最初に受けた印象としては、カメラワークがドキュメンタルでした。
ドキュメンタルは松本人志がAmazon Prime Videoから配信している密室状態でのお笑いサバイバル番組。
こちらも番組の特性上、演者がどのような行動を行うか不明なため、映像として映し出される大半が定点カメラによる撮影となります。
アドリブ故の新鮮さ
前述の通り、劇中のストーリー進行はほぼアドリブによって行われるため、俳優が配役になりきればなりきるほど熱く気持ちのこもった発言や言動をすることになったり、通常脚本があるならば言わないであろう発言もあったりします。
当然、誰がいつ話すかという順番も決まっていないため、クロストークが発生したり、発言中に噛んだりしてもそのまま映像として放映されます。
よく見るとシリアスな会話をしているはずなのに、途中で笑い堪えられなくなってしまっているようなシーンもありました。
しかし、これが逆に映像作品としては新鮮でもあり、マーダーミステリーとしてみた場合にはマーダーミステリーらしさを体験することができるようになっています。
感想戦パート
ストーリーが終了したあとに、監督の「カット」の掛け声と主に感想戦パートが始まります。
映像としてはおまけ映像レベルのようなものではあるのですが、俳優陣それぞれもことの結末を知らずに演技してきたということもあり、誰が犯人かわからなかったなどの感想が飛び交います。
これもまたマーダーミステリーらしさが際立って表現されていると感じました。
各キャラクターの設定やシナリオ
感想戦パートはありますが、実際に誰がどのような役柄設定で、どう言った情報を持ち行動指示を受けていたのか?といった情報は残念ながら本作の映像中では言及がされません。
しかし、映画ならではというところで、パンフレットを購入するとその中に各キャラクターの設定やシナリオが掲載されていて、そのパンフレットをうまく使うことでそのままマーダーミステリーとして遊べるようなものになっています。
まとめ
本作は映画として楽しむ分にはかなり異色な作品です。
アカデミー賞を狙うとかそういう感じの作風ではなく、純粋にマーダーミステリーを楽しむことに特化したような作品になっており、映画好きというよりもボードゲームやTRPGが好きな方々に是非見てもらいたい作品になっています。
そういう意味では映画としては色物に分類されるとは思いますが、いろんな人が楽しめる作品です。
パンフレットを購入できたならば、それを読みながら「自分だったらこういう発言をする」とか「なんでこの俳優さんはこんな言動をしてしまったのか?」のような別の視点で2回目を見るのも面白そうです。
作品情報
あらすじ
劇場版の舞台は『一夜のうちに3人の生贄の血を滴らせると死者が蘇生する』という不気味な伝承が残る鬼灯村(ほおずきむら)。その伝承をもとに「三つ首祭り」という奇妙な鬼祭が行われていた夜、村の長を務める一乗寺家当主の遺体が発見される。
しかし、その日、村へと続く一本道で土砂崩れが発生、 警察が到着する迄にはかなりの時間を要する。 当時、屋敷にいたのは8人。それぞれが人には言えない秘密を抱えており、殺害の動機を持っていた。事件の真相に迫るべく、登場人物を演じるキャストによるアドリブ推理が予測不能な結末へと導かれていく!
引用元:『劇場版 マーダー★ミステリー 探偵・斑目瑞男の事件簿 鬼灯村伝説 呪いの血』公式サイト