引用元:『映画 マイホームヒーロー』公式(公式X)
レビュー
映画オリジナルのストーリー展開
本作の前日譚?になるドラマ版は漫画原作の第一部となる鳥栖哲雄と半グレ集団である間野会との戦いを丁寧に描いていた。
原作ではその後、第二部となる鳥栖歌仙の実家の話が展開されるのだが、本作では第二部をベースとせず、現在連載中の第三部となる鳥栖零花が警察官になったあとの話をベースとしている。
当然、現在連載中のストーリーを先回りして映像化することは難しいので、要点は抑えつつ映画オリジナルのストーリーを展開していくことになる。
ドラマ版の第一部の出来が良かったので、続いて第二部になるのかな?と思っていたのですが、まぁやはり第二部の映像化は難しいかとちょっと納得。
というのも第二部には半グレ集団の実行部隊代表となる窪の狂気性が描かれており、かなりグロテスクな表現が多く、漫画を読みながら、これどうやって映像化するんだろうか?アニメでやったとしても不自然な光だらけになるんじゃないか?と思うほどのものでした。
とはいえ、第二部にあったこと・判明したことが全て無い状態で第三部をベースにストーリーを展開していくというのは中々の決心だったのではないかなと思います。
映画オリジナルキャラクターの大沢隼人
本作に割と唐突な感じで登場する大沢隼人というキャラクターがいる。
大沢隼人は本作でのオリジナルキャラクターで、原作の漫画には登場しない。
しかし完全なオリジナルキャラクターという感じではなく、原作の漫画に登場する小沢謙信というキャラクターをモチーフとしている。
というのも小沢謙信は実写作品となるドラマ・映画では描かれなかった第二部に登場するキャラクターとなるので、おそらくそのまま登場させることはできなかったのでは無いか?と思われる。
そのため、キャラクターとして鳥栖哲雄との信頼関係の築き方や間野会との因縁の描き方がどうしても薄くなってしまい、ポッと出の謎のキャラクターのように見えてしまった感が否めない。
原作再現度100%のキャスティング
マイホームヒーロー公式サイトのPRODUCTION NOTESにも記載はあるが、鳥栖哲雄役の佐々木蔵之介は本当に鳥栖哲雄だし、鳥栖歌仙役の木村多江も本当に鳥栖歌仙で、漫画からそのまま飛び出てきたようなキャスティングが見どころの一つ。
本作からの新キャスティングで参加することになった志野役の津田健次郎や、安元刑事役の立川談春も本当にハマり役で、だんだんとルックスレベルから本人に見えてくるような感覚になる。(安元刑事は刑事ドラマ感がすごかったが)
特に、志野を演じる津田健次郎が個人的にめちゃくちゃ好みで、津田健次郎は以前実写版の極主夫道で主人公の龍役を演じたことがある。
それもあってか、半グレ・ヤクザ的な強面な役がすごくハマっていて迫力がある。さすがは強靭にして無敵であり最強の津田健次郎といったところか。
ストーリーの終わらせ方
細かな表現などはネタバレになるので避けるが、原作は絶賛連載中なので当然最終回はまだ描かれていない。
そんな中で「最後の敵」「完結」と銘打つからにはそれに見合った最終回を描く必要がある。
映画として最後の最終回部分を描くというのはいつの頃からかよくある手法として取り入れられてきたものではあるが、前述でも触れた通り、本作では原作の第二部をすっ飛ばした上で連載中の物語の完結を描く必要があるという難易度が高い状態。
映画なので、ある程度決められた尺の中で完結させる必要があるのだが、やはりもうちょっと深堀して余韻が残るようなエンディングにしても良かったのでは無いかな?とも思えた。
しかし、完結に持っていく話の展開や結末となる表現は、まだ見ぬ原作の漫画でもそのまま取り入れられそうだと感じる程度に説得力と納得感があるものになっていると感じた。(言い方を変えると、「まぁこういう終わり方になるしかないよなぁ。」といった表現もできるほど。)
まとめ
原作の漫画がまだ未完のマイホームヒーローを実写ドラマ・映画化するのにあたって、どうしてもオリジナルのストーリー展開が必要になるという苦難を乗り越えた作品に仕上がっていると思う。
キャスティングされた俳優陣の演技も配役にマッチしていて、よくある残念な実写化にはなっておらず、正統派な実写化作品として楽しんで鑑賞することができた。
漫画の方も現在最終章に突入しているようだが、これから先、本作のクライマックスのようなストーリー展開が待ち受けているのか、それともまた違った展開が待ち受けているのか、とても楽しみになる作品です。
作品情報
あらすじ
STORY愛する家族を守るために娘の彼氏を殺した父は、命がけで罪を隠し通した。
それから7年後―山中に埋めた死体が発見された!
捜査に乗り出す警察と、死体とともに消えた10億円を探す半グレ犯罪組織。
再び標的&容疑者になった父。そして、父の罪を知らずに刑事になった娘は、
引用元:『映画 マイホームヒーロー』公式サイト|INTRODUCTION & STORY
事件の真相に迫っていく…。