引用元:映画『もしも徳川家康が総理大臣になったら』公式【大ヒット上映中!】(公式X)
レビュー
コメディ系ファンタジーかと思いきや現代政治&近未来SF
最初、本作「もしも徳川家康が総理大臣になったら」の予告を見た時の印象は完全に「翔んで埼玉」でした。
それは単純に「翔んで埼玉」にも出演しているGACKTや、見るからに立ち回りがコメディミュージカル寄りな竹中直人などのキャスト陣もさることながら、そのビジュアルと雰囲気で勝手にそう思い込んでいました。
それが開始10分程度の中で語られる現代のコロナウイルスによるパンデミック問題に、偉人の復活はAI&ホログラムという近未来SF的技術で登場という想定外な展開。
そこからコメディな感じに動くかと思いきや、存外しっかり政治を突き詰めていて、現代の日本政治に対する風刺もしっかり効いているという面白さは全く想像していませんでした。
個性派揃いなキャスティング
まず真っ先に触れたいのがGACKT演じる織田信長。見るからに派手というか拭いきれない戦国BASARA感。その演技の方もどことなく戦国BASARAで声優を演じた若本規夫を思わせる喋り。
というか調べたところ2012年に実写ドラマ化された戦国BASARAで織田信長をGACKTがすでに演じてました。もうそれじゃん!
次に高嶋政宏演じる徳川吉宗。正直、徳川吉宗が登場瞬間に「松平健じゃないんかーい!」と思わずツッコミを入れてしました。そもそも配給元などの大人な理由によっておそらく松平健をキャスティングするのは難しかったのでしょう。
しかし、それを良いことに!?まぁ大胆にやってくれる暴れん坊将軍パロディは、しっかり観客を笑わせてくれました。
最後に野村萬斎演じる徳川家康。なんでここだけこんなに解釈一致な実力派キャスティングなんだと。
野村萬斎演じる徳川家康が日本国民の前で行う演説の力強さたるや。もうこの人本当に総理大臣でいいんじゃないかなと感じさせるほど心を掴まれました。
他にもたくさんの偉人がいて、公式サイトやキービジュアルに掲載されていない偉人たちも多く登場します。例に漏れずみんな個性的でハマり役なキャスティングで、現代に甦ると本当にこんな感じっぽいなと思わせられました。
実際に起こり得る⁉️ AI政治
令和に入って現在、ChatGPTの登場によって急速にAIというものが身近なものとして普及が進んでいます。
本作「もしも徳川家康が総理大臣になったら」ではAIに実際に行なってきた歴史や残された文献をもとに過去の偉人を学習させたAIモデルが作成されており、尚且つ政治で利用することを目的として戦国時代の残虐性といった部分は制御された状態で偉人を再現しています。
この着眼点、実際現実でも全然ありそう・面白そうだなと感じました。
実際にホログラムを使ってまで偉人をその場に再現するというのは流石にもう数十年程度先の技術が必要な気はしていますが、偉人を再現したAIモデルというのはすでに取り組んでいる方もいるようで、そこから得られる助言をもとになにかしらのプロダクトを作るというのはとてもユニークな発想です。
それが直接政治に利用反映されてしまうと、「AIに支配されてる」だの陰謀論だの言われかねないので簡単に政治利用できるものではないと思いますが、確かに現代の日本政治には過去の偉人からのアドバイスや指揮力のような見習うべきところは多くあるのかもしれません。
比較的最近世間を賑わせた東京都知事選でも投票率を大きく伸ばしたように、今の日本の政治には話題性と期待そして実行する力というのはどうしても必要なのかもしれません。
まとめ
正直なところ、最初はそこまでの出来は期待していなかったのですが、実際に鑑賞してみると「この映画を現代政治家に見せてやりたい」と思わせるほどに、現代の日本政治に対する風刺がされており、ちゃんと政治について考えさせられるような出来栄えになっていました。
そのせいか、「翔んで埼玉」のような良い意味でジャンクなお笑いを見たという感じとは全く異なる方向性で満足度の高い作品になっていますので、ぜひ一度騙されたと思って鑑賞してみてはいかがでしょうか。
作品情報
あらすじ
ピンチだよ、偉人集合! 最強ヒーロー内閣、ここに爆誕!!
時は2020年、コロナウィルスが猛威を振るい日常を奪われた日本。
国内どころか世界中が大混乱に陥る中、首相官邸でクラスターが発生、あろうことか総理大臣が急死。
そこで政府が実行した最終手段、それは「AI・ホログラムにより歴史上の偉人たちを復活させ、最強内閣をつくる」という前代未聞の計画だった。
総理大臣を託されたのは“江戸幕府を作り上げた伝説の男”徳川家康(野村萬斎)。
そして、日本史に燦然と輝く大スターたちが議員バッジをつけて入閣。
官房長官を“幕末の風雲児”坂本龍馬(赤楚衛二)、経済産業大臣を“最強にして最恐の革命家”織田信長(GACKT)、財務大臣を“空前の成り上がり者”豊臣秀吉(竹中直人)、
ほかにも紫式部(観月ありさ)、聖徳太子(長井短)、北条政子(江口のりこ)、徳川吉宗(髙嶋政宏)、徳川綱吉(池田鉄洋)、足利義満(小手伸也)など
通称≪偉人ジャーズ≫によるドリームチーム内閣が誕生する。
圧倒的なカリスマに加え、政策を推し進める“えげつない”実行力に人々は驚愕し、日本中が熱狂していく。
そんな中、テレビ局の新人記者・西村理沙(浜辺美波)はスクープを取ろうと政府のスポークスマンである坂本龍馬に近づくのだが、
ひょんなことから偉人ジャーズの活躍の裏に渦巻く黒い思惑に気付いてしまう――果たして、陰謀の正体とは?
引用元:映画『もしも徳川家康が総理大臣になったら』公式サイト
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