引用元:20世紀スタジオ(公式X)
猿の惑星とは
猿の惑星はフランスの作家ピエール・ブールが書いた小説を原作としたSF映画です。
猿(類人猿)が高度な知能を獲得し、人間が猿に支配されている世界を描くシリーズで、1968年に映画化されて以来、多くの映画が制作され、SF映画の金字塔として人気の高い作品になっています。
その猿の惑星シリーズ最新作の猿の惑星/キングダムが2024年5月10日に公開されます。
猿の惑星/キングダムは、猿の惑星:聖戦記から300年後の世界を舞台とする作品です。
猿の惑星シリーズ
猿の惑星シリーズは猿の惑星/キングダムを含めて10本の映画が作成されており、大きく3つの括りに分類されます。
- オリジナル
- リ・イマジネーション
- PLANET OF THE APES/猿の惑星:2001年公開
- リブート
「オリジナル」「リ・イマジネーション」「リブート」のシリーズはそれぞれで独立した設定・世界観を持っており、各シリーズ間の繋がりはありません。
オリジナル
オリジナルに属する猿の惑星シリーズは、1968年〜1973年にかけて公開された作品です。
宇宙飛行士のテイラー大佐が不時着した惑星で、チンパンジーのコーネリアスとジーラを中心に物語が描かれています。
第1作目の設定や衝撃のエンディングが大きな話題となり、猿の惑星シリーズを一躍ヒット作としたシリーズです。
猿の惑星
あらすじ
母なる地球から320光年旅して、飛行士たちはその惑星に漂着した…。
地球から320光年、とある惑星に不時着した宇宙船の飛行士テイラーが見たのは、人間のように言葉を話す猿が人類を支配する恐るべき世界だった…!
引用元:猿の惑星|映画/ブルーレイ・DVD・デジタル配信|20世紀スタジオ公式
解説
1968年に公開された猿の惑星シリーズの第1作目です。
宇宙飛行士のテイラー大佐が不時着した惑星では、チンパンジー・ゴリラ・オランウータンなどの猿類が人間のように言葉を話し、文化的な生活を営んでいます。
さらにその惑星にいる人間は言葉を話すことができず、猿類から動物として狩りの対象となり研究材料や奴隷のような扱いを受けていました。
テイラー大佐はこの惑星で生き延びるために、チンパンジーのコーネリアスとジーラと知り合い、猿類が支配する社会からの脱出を試みます。
人間は知性があるからこそ動物をペットや研究材料のような関係性で使役することができるが、その知性がなければ普通の動物と変わりがないというメッセージ性が込められており、人間が行なっている行為の残虐さのようなものを訴えかけられる作品です。
続・猿の惑星
あらすじ
猿VS.ミュータント!壮絶な戦いは地球を恐るべき運命へと導いていった!
猿の町を脱出し、禁断地帯に入った宇宙飛行士テイラーたちは、核戦争で壊滅した廃虚に辿り着いた。そこでは放射能によりテレパシーなど不思議な力を得たミュータントが、コバルト爆弾を“神”と崇めていた…。
引用元:続・猿の惑星|映画/ブルーレイ・デジタル配信|20世紀スタジオ公式
解説
1970年に公開された続・猿の惑星は第1作目である猿の惑星の衝撃的なエンディングから直接繋がる物語です。
猿類の文化では「禁断地帯」とされ足を踏み入れることを禁じられた地域にテイラー大佐は逃げ込みます。
その禁断地帯で出会った人間は猿類が狩りの対象としていた人間とは大きく異なり、かつての核戦争の影響を受けてテレパシーや幻影を見せるといった超能力をもつミュータントとなっていました。
本作では、核爆弾や戦争といった当時の世界情勢に対する風刺が強く効いており、現代でも先月公開されたオッペンハイマーから核爆弾や戦争について触れる機会もあってか、公開から50年以上経った今でも人類の進歩というのは如何様なものかと考えさせられるようなテーマの作品となっています。
新・猿の惑星
あらすじ
320光年の時を逆流し、今度は猿たちが現代の地球に漂着した!
最終兵器で滅亡する未来の地球を脱出し、コーネリアス、ジーラら3匹の猿は、タイム・トラベルによって’70年代の地球へと到着。人間の言葉を話すため歓迎されていた彼らだったが、やがて未来社会を猿が支配すると知った人間達は…。
引用元:新・猿の惑星|映画/ブルーレイ・DVD・デジタル配信|20世紀スタジオ公式
解説
1971年に公開された新・猿の惑星はオリジナルシリーズの第3作目です。
前作の続・猿の惑星で起こった猿類VSミュータントの戦争から宇宙船を使って逃げ出すことに成功したコーネリアス・ジーラは1970年代の地球に到着します。
到着当初は話すことができるチンパンジーとして歓迎的な待遇を受けていましたが、コーネリアス・ジーラの知る地球の未来を話してしまうことにより、命を狙われることになってしまいます。
このとき、ジーラは妊娠しており、後のメインキャラクターとなるシーザーを出産します。
これまでの作品と異なり登場する猿類は極めて少なく、第1作目の猿の惑星とは猿類と人間の立場が逆転しまった世界観設定です。
設定や物語のテイストとしてはターミネーターに近く、人間側としては人間の未来のために猿類のジョン・コナーなり得るシーザーとその両親の抹殺を狙います。
猿の惑星・征服
あらすじ
猿たちの怒り、そして暴動!地球はかくして<猿の惑星>と化した!
言葉を話す猿たちの繁栄を恐れた人間に、あの猿の夫婦が殺されてから18年。彼らの忘れ形見シーザーは密かにサーカスの団長によって育てられていた。
猿が人間のペットとなっている社会で、奴隷として虐待を受ける仲間の猿の姿をみた彼は、ついに怒りを爆発させ、人間への反乱を開始した…!
引用元:猿の惑星・征服|映画/ブルーレイ・デジタル配信|20世紀スタジオ公式
解説
1972年に公開された猿の惑星・征服はオリジナルシリーズの第4作目です。
この世界では、疫病が原因となりそれまでペットとして飼われていた犬や猫が絶滅してしまっています。
そのペット変わりとして、チンパンジーなどの猿類を飼うようになったところ、猿類の知能の高さからペットの枠を超え、労働力として教育・繁殖が進んでいます。
そんな中、新・猿の惑星で誕生し生き延びたシーザーは、奴隷のように扱われる猿類を目の当たりにし、猿類の待遇改善のために猿類を束ねて人間への反乱を起こします。
本作はいわば差別をテーマとして扱った作品で、人間と同等レベルまで知能が進化した猿類はなぜ奴隷のような扱いをうけなければならないのか?という点が物語の根幹としてあります。
最後の猿の惑星
あらすじ
第1作から6年──全ての物語が時空を超え、感動のクライマックスへ!
猿VS.人間の激しい戦いは頂点へ達し、核戦争となって、両者とも殆ど絶滅してしまう。
シーザーを中心に生き残った猿たちが地球を支配するが、同じ猿族のゴリラの反乱や、ミュータントと化した人間達の侵攻が始まっていた…!
引用元:最後の猿の惑星|映画/ブルーレイ・デジタル配信|20世紀スタジオ公式
解説
1973年に公開された最後の猿の惑星はオリジナルシリーズの第5作目にあたり、オリジナルシリーズの最終作です。
核戦争から生き残ったシーザーは反乱時の教訓から人間を召使としてだが共存できる社会を作ります。
人間側は核爆弾の放射能に適応し徐々にミュータントとして進化を遂げていきます。
そんな中、シーザーの母親であるジーラの言葉を記録したテープが人間が支配する施設内にあるというのを知り、シーザーは人間の元へ潜入します。
ジーラの言葉から人間とのより対等な共存関係を望むようになったシーザーに対し、シーザーの侵入から猿類の侵略であると思い込んだミュータントの攻撃が始まります。
そして猿類の中でも猿類の絶対的支配・人類滅亡を望む過激派のゴリラたちが独断専行して人間たちと戦争を始めてしまいます。
本作のラストは人によって賛否両論あり、感じ取ったメッセージや解釈が異なっています。
リ・イマジネーション
リ・イマジネーションに属する作品は1作品しかなく、番外編のような扱いです。
ティム・バートンがリ・イマジネーション(再想像)した本シリーズは、他の猿の惑星シリーズとは「猿が人間を支配している」という基本的な設定以外は異なっており、登場するキャラクターやストーリーに繋がりは一切ありません。
PLANET OF THE APES/猿の惑星
あらすじ
2029年、惑星間の偵察を任務とする宇宙探索基地“オベロン”は磁気嵐による宇宙空間の異常を発見する。
特殊訓練を受けたチンパンジー、ペリクリーズが調査のため送り出されるが、通信が途絶。宇宙飛行士レオは上官の制止を無視してペリクルーズの後を追った。
しかし、レオの偵察ポッドは近くの惑星に墜落。危機一髪のところで緊急脱出したレオだが、逃げ惑う原始的な人間を狩って楽しむ、言葉を話す猿の武装集団と遭遇し愕然とする。――この地は猿が支配する猿の惑星だったのだ!
引用元:PLANET OF THE APES/猿の惑星|映画/ブルーレイ・デジタル配信|20世紀スタジオ公式
解説
2001年に公開されたPLANET OF THE APES/猿の惑星はリ・イマジネーションに属する作品です。
オリジナルの猿の惑星のリメイクとして世間から評価されたために、酷評されてしまった本作ですが、オリジナルが作成されていた当時よりも発展した特殊メイクやCGの技術によって、よりリアルでまた違った視点での猿の惑星を楽しむことができます。
リブート
リブートに属する猿の惑星シリーズは、2011年〜2017年にかけて公開された3部作と、今回公開される猿の惑星/キングダムで構成されています。
2011年〜2017年にかけて公開された3部作は、新・猿の惑星でも登場したシーザーが主人公として活躍するシリーズで、ロード・オブ・ザ・リングでゴラム役を務めたアンディ・サーキスがシーザー役を務めています。
また、これまでの猿の惑星シリーズとは異なり、現代の地球を舞台に、徐々に猿の惑星へと変貌していくというストーリー展開なので、これまでとは違った解釈の猿の惑星を楽しむことができます。
猿の惑星:創世記
あらすじ
現代のサンフランシスコ。
製薬会社ジェネシス社の研究所に勤める若き神経科学者、ウィルが実験のためアルツハイマー病の新薬を投与した一匹のチンパンジーが驚くべき知能を示した。ところが、そのチンパンジーは突如暴れ出した挙句、射殺されプロジェクトは中止されてしまう。
ウィルは生まれたばかりの赤ん坊を自宅に連れ帰り、“シーザー”と名付けて育てることに。
3年後、すくすくと育ったシーザーとウィルとの間には本物の人間の親子のような強い絆が生まれており、同時に特殊な遺伝子を受け継いだシーザーは、類まれな知性を発揮し始めていく。しかし、ある事件がきっかけで、シーザーは人間の愚かさに失望してしまうのだった。
そして、失望は地球上の生物の進化の概念を覆す「壮大な闘い」の序章へとつながっていく…。
引用元:猿の惑星:創世記(ジェネシス)|映画/ブルーレイ・デジタル配信|20世紀スタジオ公式
解説
2011年に公開された猿の惑星:創世記はリブートシリーズ3部作の第1作目です。
アルツハイマー病の特効薬として開発され実験投与されたチンパンジーが突如暴れ出し射殺される。
そのチンパンジーの子供として生まれたシーザーを科学者のウィルが引き取り育てる。
3年間、ウィルの幸せな家庭で育ったシーザーは、アルツハイマー病を患っているウィルの父親が隣人トラブルに巻き込まれて責め立てられている状況に遭遇する。
シーザーはそれを静止しようと飛び出すも、我を失って暴れすぎてしまったことが原因で施設に収容されてしまう。
その施設では日常的に猿たちへの虐待がされており、それから人間の愚かさに失望したシーザーは新薬の力を借りて施設内の猿を束ね、人間との闘いを始める。
オリジナルシリーズとは異なって、猿の進化は新薬を原因とするもので、自然進化で発生するものではないという設定。
また進化の過程を描いている兼ね合いから、発する言葉もほとんどなく、劇中の猿間の会話は手話で行われるのがメインです。
シーザーが収容される施設で猿に虐待を行うスタッフの一人として、ハリーポッターシリーズのドラコ・マルフォイ役を務めたトム・フェルトンが演じており、嫌味の強い憎らしい演技は流石だなと思わせてくれます。
猿の惑星:新世紀
あらすじ
地球の支配者を賭け、猿と人類の戦いが始まる。共存か、決戦か。
あれから10年後――。天性のリーダーシップを備えた猿のシーザーは、より勢力を拡大し、手話と言語を操る猿たちは、森の奥に文明的なコロニーを築いていた。
一方、約90%が絶滅した人類のわずかな生存者グループは、荒れ果てた都市の一角に身を潜め、希望なき日々を過ごしていた。
そんなある日、人間たちがエネルギー資源を求めて猿のテリトリーに足を踏み入れたことから、一触即発の事態が勃発。シーザーと生存者グループの穏健派マルコムは和解の道を探るが、憎しみを抑えられない両陣営の対立は激化していく。
共存か、それとも闘いか。最終決戦へのカウントダウンが刻まれるなか、シーザーは生き残るための重大な決断を迫られていくのだった…。
引用元:猿の惑星:新世紀(ライジング)|映画/ブルーレイ・デジタル配信|20世紀スタジオ公式
解説
2014年に公開された猿の惑星:新世紀はリブートシリーズ3部作の第2作目です。
猿の惑星:創世記で使われた新薬は新種のウイルスを使った薬で、猿には副作用は見られなかったが人間に対しては致死性の有毒なものでした。
猿の惑星:創世記の中で新薬投薬試験中に発生した事故により、このウイルスが世界に蔓延しパンデミックとなり、人類の約90%が絶滅してしまった地球が舞台です。
ダムから電気を供給することを目的に人間がシーザーたちのテリトリーに足を踏み入れたことから一触即発な事態に。
猿たちの中でもシーザー派は人間との共存を望み、猿の惑星:創世記で散々人間に実験台として嫌な思いをさせられたコバを代表とする過激派の派閥は人間の滅亡を望みます。
人間の方も、シーザーの意向を理解した共存派と、一触即発な事態やコバを代表とする過激派派閥の動向から徹底抗戦を望む派閥とで分裂状態になってしまいます。
そんな中でコバによる独断専行を皮切りに止めることのできない全面戦争へと発展します。
猿は猿たちの、人間は人間たちの生活・未来のために戦うことになるという、どちらの面も見れる鑑賞者側からするとすごく歯痒い展開です。
疑念や信用が語られるメッセージの一つとしてあり、それが原因となって終わらない戦争が始まってしまうというのは、現代社会でも同様であるというメッセージを感じさせます。
猿の惑星:聖戦記
あらすじ
猿と人類が全面戦争に突入して2年。猿の群れを率いるシーザーは、軍隊を統率する冷酷非情な大佐の奇襲によって妻子を殺されてしまう。
大佐への憎悪に駆られたシーザーは、多くの仲間を新たな隠れ場所へと向かわせ、自身はわずかな仲間と共に復讐の旅に出る。
その道中で口のきけない人間の少女と出会い、ノバと名付けた一行は、さらに人間の物資を盗んで生きている奇妙なチンパンジーのバッド・エイプと遭遇し、大佐の居場所を知る彼に道案内をさせる。
やがて大佐のアジトである巨大な要塞にたどり着いたシーザーたちだったが、冷静さを失っていたために大佐に捕獲されてしまう…。
引用元:猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)|映画/ブルーレイ・デジタル配信|20世紀スタジオ公式
解説
2017年に公開された猿の惑星:聖戦記はリブートシリーズ3部作の第3作目です。
猿の惑星:新世紀によって火蓋が切られた全面戦争から2年後が舞台。
人間側の軍を率いる大佐の手によってシーザーの妻と息子を殺されてしまいます。
現在の住処のままでは危険であることを察知したシーザーは仲間たちを新たな住処へ向かうように指示をし、自身は妻子の復習のため大佐のいる人間軍への向かいます。
その道中では口の聞けない何人かの人間と遭遇します。その人間たちは恐らく新薬で蔓延したウイルスが原因で言葉を失ってしまう人間たちでした。
大佐のいる人間軍に辿り着いて様子を伺うと、人間軍は対猿軍のために準備をしているのではなく、別の人間軍との戦争のために準備をしていることを知ります。
そして新たな住処へと送り出した猿の仲間たちが人間軍に捉えられているのを見つけたシーザーは、仲間たちの解放と大佐への復讐のために闘いが始まります。
これまでの他の猿の惑星シリーズでも言及されていましたが、「猿は猿を殺さない」「人間は人間同士争い殺しあう」が色濃く描かれた展開です。
3部作の最終作品となるため、シーザーを主人公とする作品はこれが最後となってしまいますが、最後の最後までシーザーを応援してしまうようなシリーズになっています。
結局どのシリーズを見たら良い?
猿の惑星/キングダムは猿の惑星:聖戦記から300年後の世界を舞台とする物語です。
そのため、彫刻や歴史として間接的に語られることはあっても、直接同じキャラクターが登場するといったことは無いとおもわれます。
なので、プレミア試写会の感想としては、前作を1つも見ていなくても楽しむことが出来たという意見も出ていました。
とはいえ、世界線としてはリブートシリーズに属し、その延長としてストーリーが展開されるので、より楽しむためにも、リブートシリーズの3作品は事前に鑑賞した上、猿の惑星/キングダムを鑑賞すると良いかと思います。
また、猿の惑星/キングダムは新たなサーガを描くと題されているので、ここから新しく何部作かの映画が公開されることが予想されます。
今後の展開に期待しましょう!