引用元:映画『国宝』公式アカウント(公式X)
レビュー
歌舞伎の厳しさ
本作は歌舞伎を題材に、2人と対極とも言える男の人生を描いた物語です。
歌舞伎と言われても実際に歌舞伎を観たことがある人って、実はそこまで多く無いのではないでしょうか?(特に若者)
実際に自分自身、血筋とか家柄とか世襲とか、大変厳しい世界であるというくらいなら聞き齧った知識で知っていても、いざ実際に歌舞伎というものに向き合う機会はほとんどありませんでした。
そんな若者にこそ観てほしい「芸事を極めるとは」を描いた作品になっています。
主人公の喜久雄は元々は任侠の人間、片や俊介は歌舞伎一家の御曹司という本来出会わない2人が、いかに苦労して芸事の道を極めていくのか。主演の2人はもちろん歌舞伎界出身の人では無いので、このように映像として魅せられるようになるまででも血が滲むような努力・稽古があったことは想像に容易いです。
糖尿病の恐ろしさ
劇中に糖尿病の恐ろしさがまざまざと突きつけるような描写がありました。
細かくは触れませんが、本作を観に来た若い世代に、糖尿病とは、明日は自分の身に起こるかもしれないと本能的に察知させることができていて、鑑賞後の感想としては歌舞伎の厳しさの次に糖尿病の恐ろしさについてのインパクトがすごく印象的でした。
この手の病気はじわじわと進行していくので、少しでも違和感を感じたら躊躇せずに病院にいきましょう。作中では時代背景もあって治療の仕方とかが現代とは変わってきているはずなので、もしこれが現代劇だったらもう少し物語の進行は変わったりしたのかなと思わなくもなかったです。
まとめ
上映時間が約3時間となかなかの長編ですが、集中して見ているとあっという間な3時間でした。
それどころか、映画用に原作を端折っているんだろうなと感じさせる場面も多々あり、正直な感想としては、もっと細かく登場人物の掘り下げをしてほしい!と思いました。
作品情報
あらすじ
後に国の宝となる男は、任侠の一門に生まれた。
この世ならざる美しい顔をもつ喜久雄は、抗争によって父を亡くした後、
上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎に引き取られ、歌舞伎の世界へ飛び込む。そこで、半二郎の実の息子として、生まれながらに将来を約束された御曹司・俊介と出会う。
正反対の血筋を受け継ぎ、生い立ちも才能も異なる二人。
ライバルとして互いに高め合い、芸に青春をささげていくのだが、多くの出会いと別れが、運命の歯車を大きく狂わせてゆく…。
誰も見たことのない禁断の「歌舞伎」の世界。
血筋と才能、歓喜と絶望、信頼と裏切り。
もがき苦しむ壮絶な人生の先にある“感涙”と“熱狂”。
何のために芸の世界にしがみつき、激動の時代を生きながら、世界でただ一人の存在“国宝”へと駆けあがるのか?
圧巻のクライマックスが、観る者全ての魂を震わせる―― 。
引用元:映画『国宝』公式サイト