引用元:映画『ゴジラxコング 新たなる帝国』公式(公式X)
レビュー
「モンスター・ヴァース」10周年のアニバーサリー超大作
本作の「ゴジラxコング 新たなる帝国」は2014年に公開された「GODZILLA ゴジラ」から始まる「モンスター・ヴァース」シリーズの10周年目最新作です。
モンスター・ヴァースには本作を含めて5つの映画がシリーズとして公開されています。
- GODZILLA ゴジラ
- キングコング:髑髏島の巨神
- ゴジラ キング・オブ・モンスターズ
- ゴジラvsコング
- ゴジラxコング 新たなる帝国
前作の「ゴジラvsコング」ではゴジラとキングコングがそれはそれは盛大に暴れ回ってくれました。
本作でもゴジラとキングコングがメインキャラクターとして据えられているのは同じなのですが、あらすじにもあるように「vs」ではなく「x」という形の表記になっています。
本作で初めて登場するスカーキングと呼ばれるコング系の怪獣をゴジラとキングコングの共通の敵として対峙させることで、「敵の敵は味方」のような構図を描いています。
なので決してゴジラとキングコングが仲良くなったとかそういうのではなく、バチバチに殴り合うゴジラとキングコングの乱闘もひとつ楽しみとなる要素としてのこっています。
地上の王ゴジラ
ゴジラのハリウッド版というと長らく1998年公開の「GODZILLA」を指すことが多く、この「GODZILLA」の登場するゴジラは、「あれはゴジラじゃない。トカゲの化け物だ。」なんていうセリフが生まれるほどにゴジラではなくどちらかというとティラノサウルスのような恐竜に近い物で、決してゴジラとしての評判はいいものではありませんでした。
モンスター・ヴァースのゴジラも同じくハリウッド版として作り直されたものが「GODZILLA ゴジラ」です。
日本版のゴジラは言うなれば存在そのものが災害であり、人類は手も足も出すことが叶わないといった絶望感を与えるような作りであることが多いのに対し、モンスター・ヴァースのゴジラはとにかく怪獣のお祭り・どんちゃん騒ぎといった印象で、人類が無惨に散っていくような描写は少なく、怪獣VS怪獣の巨大戦がメインでテイストとしてはウルトラマンを見ているような感覚に近しいかなといった具合です。
ゴジラは「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」で地上の怪獣たちを薙ぎ倒し屈服させ、地上をゴジラのテリトリーとして確立させました。
そんな地上の王となったゴジラは地上ではほとんど敵なし。そんな状況がゴジラをそうさせるのか、戦闘スイッチが入っていないときのゴジラがほとんど猫のような状態でとても可愛く見える一面も見どころです。
地下の王キングコング
キングコングの歴史は古くは1933年に公開された「キングコング」から始まり、日本映画でもゴジラをはじめとする数多くの怪獣たちと戦ってきた有名な怪獣です。
モンスター・ヴァース前のキングコングでいうと2005年公開の「キング・コング」が現代風のキングコングとして見やすい作品になっています。
モンスター・ヴァースのキングコングはこれまでのキングコングのベースとなるエッセンスは取り入れていますが、単なる怪獣として描かれるよりも、キングコングのバックボーンに対する描写も多く、今までのキングコングよりも文化的で知性も高い、まるで人間のような怪獣として描かれています。そしてその人間臭さがまたとても魅力的な怪獣となっています。
「ゴジラvsコング」では本来暮らしていた故郷となる地下世界に戻ることで、かつて自分の仲間が暮らしていた形跡を見つけ、仲間の姿を探しつつも地下世界で孤独に暮らす地下世界の王となります。
そんなキングコングですが、本作ではついに同じ種族であるスカーキングとスーコをはじめとする怪獣と遭遇します。
しかし現実の動物と同じように縄張り争いに近しい戦いに発展してしまい…というのが本作の大まかな話の流れになっています。
表情豊かな怪獣たち
本作をはじめとするモンスター・ヴァースの怪獣たちは当然怪獣なので、人間が理解できる言葉を発することはありません。(キングコングは例外的に手話を用いて人間と対話できますが、対話するシーンは極めて限定的です。)
それにも関わらず、ただ吠えているだけのようなシーンでも見ていくうちに不思議と怪獣たちが何を言っているのかがわかるような錯覚を覚えます。
それはゴジラやキングコングだけに限らず、スカーキングやスーコをはじめとする登場する怪獣のそのほとんどに共通して感じることができます。
モンスター・ヴァースの怪獣は日本のゴジラのような災害的な怪獣ではなく、ベースとなる動物がおり、その行動や感情表現が作られているのではないかと思います。
そのため、どの怪獣にも動物に向けるのと類似した愛着を感じ、逆に理不尽な怖さのような要素が感じられにくい形になっているのではないかなと思いました。
まとめ
先日公開され、AmazonPrimeVideoでは5月から配信開始の「ゴジラ-1.0」のようなスリリングでひりつくようなドラマ生はありませんが、素直に怪獣側に感情移入して楽しむことができるのがモンスター・ヴァースの特徴です。
そんなモンスター・ヴァースの2大キャラクターの活躍を是非映画館でお楽しみいただければと思います。
もしまだ過去のモンスター・ヴァースシリーズが未視聴の場合でも問題ではないですが、より作品を楽しむためにも、過去のモンスター・ヴァースシリーズの映画を鑑賞後に本作を鑑賞することをお勧めします。
作品情報
あらすじ
怪獣と人類が共生する世界で、未確認生物特務機関:モナークが察知した異常なシグナル。
交錯する<地上世界/ゴジラテリトリー>と<地下空洞/コングテリトリー>。ついに一線を越える<王ゴジラ>と<王コング>の激突のその先には、我々人類が知る由もなかった未知なる脅威が待ち構えていた。「vs」ではなく「x」、そして[新たなる帝国]が意味するものとは? 世界は今、目撃する── 。
引用元:映画『ゴジラxコング 新たなる帝国』公式サイト
トレーラー
主題歌
Yaffle & AI feat. OZworld「RISE TOGETHER」