引用元:ソニー・ピクチャーズ映画 公式(公式X)
レビュー
アポロ計画捏造説から「もしも」を描いた物語
1969年7月、全世界が注目している中、アポロ11号が月面着陸に成功しました。実際に月面に降り立ったニール・アームストロング船長の発した「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な一歩である。」と言う言葉はあまりにも有名です。
アポロ11号が月面に着陸してから数年後、全世界に中継された月面着陸の映像はフェイクではないか?という捏造説が広まるようになります。
本作のフライ・ミー・トゥ・ザ・ムーンは、月面に飛び立ったアポロ11号やその搭乗員ではなく、アポロ11号の月面着陸を達成させるために関わった多くの人たちと、その裏側で「もしも本当にフェイク映像プロジェクトが動いていたら」の世界を描く笑いありの物語になっています。
撮影にはNASAが全面協力
舞台となるのがアポロ計画ということもあり、NASAが関係するシーンが大半です。
そんな中、NASAが本作の脚本を読んで撮影に全面協力をしたというから驚き。
実際に撮影された映像資料などを撮影陣に共有し、リアルなNASAの設備や月面着陸の様子が再現されているとのことです。
本作の作中に登場するシーンでも、本当にたくさんの役割をもった人々が登場しており、アポロ計画がいかに大事業であったかの様子が伺えました。
歴史的な題材をコミカルに描く
アポロ計画という実際にあった歴史上の出来事を描くという性質上、通常であればどうしても伝記っぽくなったり生真面目な作品になりがち(というか最近の流行り?)のように思います。
最近の作品でいえば、「フェラーリ」「オッペンハイマー」「ナポレオン」などなど。これらの歴史・史実が題材になっている映画は、そのジャンルにおいて興味のある人がメインターゲットとなり、逆に興味のない人にはなかなか薦めづらいような印象があります。
対して本作は、題材が実際にあった歴史上の出来事である裏で、もしもの展開をコミカルに映像化しているところから、興味のない人でもラフに楽しむことができるし、かつ歴史的な事実を雑な扱いにしないというちょうど良い塩梅の出来上がりになっていると感じました。
確かに伝記系の映画に比べれば、「実際のところはどうだったのか?」という点の描写はどうしても少なくなってしまいますが、それでもアポロ計画に対して興味を持たせるという切り口で考えれば、とても良い宇宙入門映画になっているのではないでしょうか。
まとめ
本作はあくまで映画なので、アポロ11号の月面着陸成功は真実か嘘かの真相を追求するものではありません。
宇宙規模の「もしもシリーズ」を見に行くくらいの感覚でたくさんの人に鑑賞してほしいです。
劇中に発生するコミカルなシーンやクライマックスに起こる衝撃の展開は万人が見ていて楽しめること間違いなしです。
作品情報
あらすじ
1969年、アメリカ。ケネディ大統領が宣言した〈人類初の月面着陸を成功させるアポロ計画〉から8年――。未だ失敗続きのNASAに対し、国民の関心は薄れ、予算は膨らむ一方。この最悪な状況を打破するため 政府関係者のモー(ウディ・ハレルソン)を通してNASAに雇われたのはニューヨークで働くPRマーケティングのプロ、ケリー(スカーレット・ヨハンソン)。
アポロ計画を全世界にアピールするためなら手段を選ばないケリーは、宇宙飛行士たちを「ビートルズ以上に有名にする!」と意気込み、スタッフにそっくりな役者たちをテレビやメディアに登場させ、“偽”のイメージ戦略を仕掛けていく!
そんな彼女に対し、実直で真面目なNASAの発射責任者コール(チャニング・テイタム)は反発するが、ケリーの大胆で見事なPR作戦により、月面着陸は全世界注目のトレンドに!
そんな時、モーからケリーにある衝撃的なミッションが告げられる――!「月面着陸のフェイク映像を撮影する!」
失敗は許されない月面着陸。断ったら政府に消される超極秘プロジェクト。早速ケリーは撮影監督や役者を雇い、厳戒態勢の中、NASAの内部に作られた〈嘘の月面〉での撮影準備を進めるが・・・。「そんなことは絶対に許さない!」
仲間の月面着陸成功を信じて猛反対するコールと、偽の月面着陸制作に邁進するケリー。対立する2人の前に更なるトラブルやアクシデントが勃発する中、ついにアポロ11号は発射の時を迎え、月面着陸までのカウントダウンが始まった!世界中が見守るテレビ生中継で
引用元:映画『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』オフィシャルサイト | ソニー・ピクチャーズ
35億人が目撃したのは、
“リアル”か“フェイク”か――