【レビュー】エイリアン:ロムルス

エイリアン:ロムルス
引用元:20世紀スタジオ(公式X)

レビュー

エイリアンシリーズファンの期待を裏切らない出来栄え

SF・パニックホラーといえばエイリアン!というのは多くの人々が思い浮かべる程度にはエイリアンシリーズのファンが多く、数々の名作を生み出してきたシリーズだと思います。

エイリアンシリーズで最後に公開された「エイリアン:コヴェナント」から7年、ストーリーのつながりとしては初代「エイリアン」から数えれば45年。これだけの期間を空けてファンの期待を一身に背負った本作エイリアン:ロムルスですが、過去のエイリアンシリーズの良いところを掻き集めてリスペクトが随所に盛り込まれたファンも納得の出来栄えでした。

ファンの間ではエイリアンシリーズといえばコレだよね!というお約束的な展開がいくつかあると思うのですが、しっかりその要所要所を抑えて作られているのがとても好印象です。

エイリアンの不気味さ・恐怖を再認識

エイリアンと一口に言っても、「フェイスハガー」「チェストバスター」「ゼノモーフ」といった形態ごとにそれぞれ名前が付けられており、さらに宿主となった生命体の特徴などを引き継ぐことで変異した個体によって役割や呼び名がさらに異なっています。

本作に出てくるエイリアンの中でも特に良かったと思うのがフェイスハガーの使い方。

過去シリーズはどちらかといえばゼノモーフを恐怖の対象として重点を置き、フェイスハガーはスーパーマリオのクリボーくらいの扱いがせいぜいだった印象なのですが、本作のフェイスハガーはそれ単体でここまで恐怖を掻き立てられるのかと思うほど、いくつもの重要な場面に登場します。

もちろんゼノモーフが与える恐怖や緊張感もかなりのもので、初代「エイリアン」をリスペクトしアニマトロニクスで作られたと言われるゼノモーフの細かな造形や息遣いまで感じさせる体液の飛び散り具合など、フルCGでは表現しきれない味わい深さが感じられました。

登場人物とアンドロイドとの向き合い方

本作の登場人物はティーンエイジャーもしくは20代前半がいいところの若者で、「プレデター」のようないかつい軍人は出てこないままにエイリアンの待つ宇宙ステーションに向かっていったため、最初心細さを覚えました。その設定がよりエイリアンにどうやって勝つんだと思わせる材料として恐怖を煽るものにもなっていたと感じます。

エイリアンシリーズの世界観には人間型のアンドロイドも共存しています。

アンドロイドはあくまでロボットであり、指令に忠実で合理的判断に基づいて行動するため、人間からすると理解できないような行動をとることもあります。

この人間とアンドロイドの構図は同じくSFパニックの毛色を持つ「ターミネーター」を彷彿とさせ、昨今急速に発展しているAI技術から生まれる懸念などを想起させるような時事的な要素を感じさせます。

ターミネーター」ほど明確な対峙構造ではないにせよ、アンドロイドとの向き合い方を誤ると重大な事故につながるという点は、これからAI技術が浸透していく現実世界においても意識していかなければならないように思います。

まとめ

全体的に本作の評価はかなり満足のできる出来栄えとなっており、可能であれば初代「エイリアン」を見た上で本作を鑑賞すると、細かいところで作品のつながりや気づきを得られるかもしれません。

本作から続くエイリアンシリーズも別の記事でまとめてあるので、そちらも参考にしつつエイリアンシリーズを楽しんでいただければと思います。

作中に散りばめられた伏線や興行収入・評判などからも、おそらくここからまだ新しく続編が作られるのではないか?と期待が持てるので、次回作に期待しましょう!


作品情報

あらすじ

人生の行き場を失った6人の若者たちが、生きる希望を求めて足を踏み入れた宇宙ステーション“ロムルス”。

だが、そこで彼らを待っていたのは、恐怖と言う名の絶望──寄生した人間の胸を突き破り、異常な速さで進化する “エイリアン”だった。

しかも、その血液はすべての物質を溶かすほどの酸性のため、攻撃は不可能。
宇宙最強にして最恐の生命体から、彼らは逃げ切れるのか?

引用元:映画『エイリアン:ロムルス』公式サイト|20世紀スタジオ公式

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