【レビュー】MERCY/マーシー AI裁判

MERCY/マーシー AI裁判
引用元:ソニー・ピクチャーズ映画 公式(公式X)

レビュー

『MERCY/マーシー AI裁判』は、AIが司法を担う近未来を舞台にしたスリラー映画です。
人間の「正義」や「信頼」といった価値が、数値化されたアルゴリズムによって判断されていく。そんな恐ろしくも現実的なテーマに、誰もが息をのむことでしょう。
90分という制限時間の中で、主人公が自らの無実を証明しようとする緊迫感が全編を通して張りつめています。

AIが人を裁く

AIが人を裁くという設定自体はこれまでにも『ターミネーター』などで描かれてきましたが、『MERCY/マーシー AI裁判』が興味深いのは、それがまるで「今すぐそこにある現実」のように感じられる点です。
ChatGPTのような生成AIが生活の一部になった現在、「もしかしたら私たちの未来かもしれない」とリアルに感じられ、背筋が少し冷たくなる瞬間が何度もありました。

もう一つ印象的なのは、AIという存在を盲信することへの問いかけです。
劇中では、AIが出した“有罪率”という数値が絶対的な判断材料として扱われます。

しかし、私たちは本当にAIの答えを信じていいのか?そこにバイアスや意図が潜んでいないのか?というメッセージが強く伝わってきます。
技術に頼る現代社会への風刺としても、非常に鋭いテーマです。

ゲーム的な要素も感じられる点も見逃せません。
AIに尋問されながら自身の無実を証明していく流れは、『ドキドキAI尋問ゲーム 完全版』を思い出させます。
時間制限と数値化された判定という仕組みが、まるでプレイヤーのような臨場感を与えてくれます。
観客は主人公と一緒に「AIをどう説得すれば無実を認めてもらえるのか」と考えながら見入ってしまいます。

拘束された状態で進む物語

物語の始まりから主人公が拘束された状態というのは、なかなかインパクトがあります。
しかもその束縛がずっと続くというのは、観ている側にも強い緊張感を与えます。
動きに制限がある中で進行するストーリーは、通常のサスペンスとは違う“閉塞感のドラマ”を生み出しています。
この演出が非常にユニークで、主人公の焦燥と絶望をリアルに伝えてくれます。

さらに面白いのは、拘束された状態でも世界中のあらゆるデータにアクセスできるという設定です。
肉体的には制限されていても、情報的には無限に広がるという対比が、AI社会の矛盾をうまく象徴しています。
制限された身体と無限の情報空間のギャップが、非常にうまく物語の緊張感を支えています。

そして、無罪を証明できなければ「即処刑」という極端なルール。
これは映画『SAW』シリーズを思わせるような設定で、恐怖とサスペンスを見事に両立させています。
現実的にはあまりに残酷なシステムですが、映画としての緊張感を作るには完璧な仕掛けと言えるでしょう。
観客もまた、次の瞬間どうなるのか全く予測できず、最後まで息が詰まるような展開が続きます。

まとめ

『MERCY/マーシー AI裁判』は、AIが人間をどこまで理解できるのか、そして人間がどこまでAIを信頼していいのかという問いを突きつけてきます。
物語のスリルや映像の緊張感だけでなく、現代社会が抱えるテクノロジーへの依存問題をリアルに描いている点が見どころです。

実際、最近では弁護士や技術者など、AIを実務に取り入れて効率化を図る例も増えています。
そうした現実の流れを思うと、この映画の世界は決して遠い未来の話ではないと感じました。
社会が便利になる一方で、判断をAIに委ねるリスクも表裏一体だということを、この作品は強く訴えかけています。

AIという存在がますます身近になる今こそ、『MERCY/マーシー AI裁判』のような作品が重要になっているのだと思います。
これは単なるエンタメではなく、テクノロジーと人間の関係を問い直す映画です。
観終わった後、自分ならAIの裁きにどう向き合うか、きっと真剣に考えたくなるでしょう。


作品情報

あらすじ

凶悪犯罪が増加し、厳格な治安統制のためにAIが司法を担うことになった近未来。

ある日、敏腕刑事のレイヴンが目を覚ますと、妻殺しの容疑で〈マーシー裁判所〉に拘束されていた。
冤罪を主張する彼だったが、覚えているのは事件前の断片的な記憶のみ。
自らの無実を証明するには、AIが支配する世界中のデータベースから証拠を集め、さらにはAI裁判官が算出する”有罪率”を規定値まで下げなくてはならない。

無罪証明までの〈制限時間は90分〉。
さもなくば〈即処刑〉――。

引用元:映画『MERCY/マーシー AI裁判』オフィシャルサイト | ソニー・ピクチャーズ

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